大田垣洋子・米澤治文・志和資朗・斎藤浩・中村研, 「摂食障害患者の自尊感情についての検討」 『心身医学』2005年3月,第45巻第3号,225-31.
摂食障害患者103例について自尊感情と摂食態度,感情状態,羅病期間,BMlとの関連をローゼンバークの自尊感情尺度,EAT,BITE,POMSを用いて検討し,さらに病型間の自尊感情の比較を行った.
摂食障害患者の自尊感情は,摂食態度や感情状態との関連を認めたが,罹病期間やBMIとの関連は認めなかった.また重回帰分析において,自尊感情と摂食態度との関連が確認された.病型間の比較では,ANではむちゃ食い/排出行動のある群,BNでは排出行動のない群で自尊感情が低かった.
拒食症(無茶食い+パージング)と過食症(パージング無)で自尊感情が低かったとのこと。
ちなみに、拒食症+無茶食いと過食症はどう違うのかということに関しては、DSMはこう言ってる。
神経性無食欲症の期間中にのみ無茶喰い行動が起こる患者は,神経性無食欲症,無茶喰い/排出型,と診断し,神経性大食症の追加診断を下すべきではない.無茶喰いと排出を行い,その特徴がもはや神経性無食欲症,無茶喰い/排出型,の基準を完全に満たさない人の場合(例:体重が正常であったり月経が正常化したりした場合),現時点での最適な診断が,神経性無食欲症,無茶喰い/排出型,部分寛解であるか,神経性大食症であるかは,臨床的に判断すべき問題となる.
通常の自尊感情は25あたりだそうな。
井上によれば岡山大学の女子大学生202名のRSESの平均値は25.01±3.59と報告されており,今回得られたすべての病型の摂食障害患者のRSESよりも高値であった.
順番に並べると以下のようになる。
過食症<過食症(パージング)<拒食症(パージング)<拒食症<非摂食障害者
パージングをする過食と拒食の違いがどれほど違うのかは分からないが、パージングを挟んで、過食<拒食<非摂食障害となっている。パージングという手段は妥協案的なポジションなのかもしれない。
この論文ではBMIとの関係がないとしているが、本人の認識と客観的指標のBMIは必ずしも一致しない。つまり、BMIで摂食障害の基準を満たしていても、本人は太っていると認識しているなどである。本人のボディ・イメージと自尊感情との関係についての分析が必要であろう。このことは論文中でも指摘されているので、追加研究を望む。