OAでの過食症についての論文。Overeaters Anonymous(OA)は脅迫的過食者(Compulsive overeaters)のための自助グループだが、その中には一定数の過食症者(Bulimic)が含まれる*1。
Malenbaum, Roxanne; Herzog, David; Eisenthal, Sherman; Wyshak, Grace,
Overeaters Anonymous: Impact on Bulimia.
International Journal of Eating Disorders,
Jan88, Vol. 7 Issue 1, p139-143.
この論文は過食症に対するOAの有効性を説いている。
Twenty-five (62.5%) became regular members immediately, and 11(27.5%) dropped out once or twice before becoming regular members. The reason cited among over half the people who previously dropped out (20% of total respondents) was that they were unable to maintain complete abstinence.
OAとは先のエントリでも書いたように節制(abstinence)を目的としている。この論文で対象となった40人のOA参加の過食症者の62.5%はただちに「節制」を達成できたが、27.5%は失敗をしている。理由は完全な形での「節制」が出来なかったからだという。この27.5%は現在参加している中で過去に1度か2度の失敗をしている人の割合なので、実際に失敗している人の割合ではない。現在継続的に節制をしている人でも過去に失敗を経験をしている人が3割弱と考えるにとどめておく必要がある。
Of the 17 who became abstinent on the first day, 14 (35%) maintained abstinence throughout. Of the 9 who became abstinent within 1 month, 7 (17.5%) maintained abstinence throughout. Thus, over half of the respondents (52.5%) became abstinent within the first month and maintained it without exception.
40人中17人が最初の日から「節制」に成功し、そのうち35%の14人が「節制」を完遂することに成功。1ヶ月いないに「節制」することができた9人のうち、完遂したのは7人だった。従った、回答した半数が、最初の1ヶ月に「節制」に成功し、それを維持することに成功したことになる、という結果だったようだ。
Thirty-nine (97.5%) agreed with the statement, "Until a person deals with her eating behavior she cannot deal with her psychological problems." Conversely, 37 (92.5%) disagreed with die statement, "Until a person deals with her psychological problems she cannot deal with her eating behavior."
40人中39人は「摂食行動へ対して取り組まない限り、精神的な問題に取り組むことが出来ない」という意見に賛成した一方で、(その逆である)「精神的な問題に取り組まない限り、摂食行動に取り組むことが出来ない」という意見には同意しなかった、とある。これはOAの思想が染み渡った場所でアンケートを採ると、このように答えるだろうということは考慮しなければならないと共に、状況打開の一つの考え方だと捉える必要がありそうだ。
It appears that abstinence is the crucial achievement before most members feel confident that compulsive eating will not recur.
「節制」することによって食べ吐きが再発しないという自信につながるとある。もちろん成功すれば、自信も付き、自尊感情も持てるのだろうが、失敗した場合のことも考える必要があろう。
Although other programs initially advocate well structured and planned meals with certain food restrictions, unlike OA they recommend slow addition of binge eliciting foods, not complete elimination.
他のプログラムとの比較について。他のプログラムは緩やかで完全な異常摂食行動の完全除去を勧めないが、OAは完全除去を目指すとある。
*1:The Efficacy of Overeaters Anonymous in Fostering Abstinence in Binge-Eating Disorder and Bulimia Nervosa.By Kriz, Kerri-Lynn Murphy(PDF) によるとOAの15%が過食症者だという。これはワシントン州メトロポリタンのOAでの数字。拒食症者はOAでは珍しく全体の1%