埼玉県健康福祉部「ひきこもり実態調査報告書」2002.
社団法人埼玉県精神保健福祉協会ハンドブック「ひきこもり」の元になった報告書。非常に貴重な調査だ。
性別について。
本人の性別については、男性が79.5%とほとんどをしめ、女性の20.5%を大幅に上回っていた。
男性が8割という結果。
年齢の分布
表で書くと以下。
平均 | 22.0歳 | |
標準偏差 | 6.55 | |
件数 | % | |
合計 | 127 | 100.00% |
10-12歳 | 5 | 3.90% |
13-15歳 | 19 | 15.00% |
16-18歳 | 19 | 15.00% |
19-20歳 | 14 | 11.00% |
21-22歳 | 18 | 14.20% |
23-25歳 | 13 | 10.20% |
26-30歳 | 28 | 22.00% |
30-35歳 | 7 | 5.50% |
36-40歳 | 3 | 2.40% |
41-45歳 | 1 | 0.80% |
30代以上は8.7%。この調査(2001年6-8月実施)では高齢化は見られない。
以下は二峰性のピークについての資料。
ひきこもりの状態にある方で不登校を経験した方は(64.6%)で、13歳から15歳頃にひきこもり(不登校)が始まっています。不登校の経験がない方は、19歳から20歳頃にひきこもりが始まっています。(社団法人埼玉県精神保健福祉協会ハンドブック「ひきこもり」より)
以下はひきこもり期間からみた外出をしないものの数。
以下は同居家族との関係
「わが子がひきこもりで世間体が悪い」について。
「世間体が悪い」ことについては、20歳代を中心に高い比率を示し、ひきこもり期間2年以内が目立っていた。
親の状況について
「ひきこもり」について隠している家庭が6割。
子どもにどう対応したらよいか分からない家庭が78%。
ちなみに、これは保健所などに相談を持ちかけている家庭でのデータである。保健所にもつながることができていない閉鎖的な家庭では、おそらくもっと自分の家庭に「ひきこもり」がいることを隠し、対処の仕方にもこのデータ以上に困っているのではないかと思われる。
ひきこもりの期間は2年以内が一番多く、以降6年まで漸次低下していくが、10年以上も14%いる。今回は横断的調査なので、経過。転帰については予測できないが、今後のケース研究はもちろん、コホート研究などに期待したい。
ひきこもり期間は2年が最頻値。10年以上は14%。
性別では、女性に多いのは食行動の異常、不平・不満、自傷行為で、少数であるが男性のみに強迫行為、深夜俳掴、寝たきり、飲酒問題がある。これらは少数であるが、医療的対応を含めて、援助を計画しなければならない。
今までの結果を支持する結果がでている。「ひきこもり」に併存する症状には男女差がある。
以前もしくは現在の不登校の有無 | ||
件数 | % | |
合計 | 127 | -100.00% |
なし | 41 | -32.30% |
あり | 82 | -64.60% |
無回答 | 4 | -3.10% |
不登校の開始時期の平均と分布 | ||
平均 | 14.3歳 | |
標準偏差 | 2.83 | |
件数 | % | |
合計 | 82 | 100.0% |
7−9歳(小学校低学年) | 6 | 7.3% |
10−12歳(小学校高学年) | 8 | 9.8% |
13−15歳(中学) | 36 | 43.9% |
16−18歳(高校) | 26 | 31.7% |
19−20歳(短大・大学卜2年) | 2 | 2.4% |
21−22歳(大学3−4年) | 1 | 1.2% |
無回答 | 3 | 3.7% |
現在の外出状況(N=127:複数回答) | ||
件数 | % | |
まったく外出しない | 24 | 18.90% |
夜だけ外出をする | 14 | 11.00% |
1人で自動車を運転して外出をする | 15 | 11.80% |
電車リベスを使って外出をする | 22 | 17.30% |
家族と一緒なら外出をする | 39 | 30.70% |
昼に自分の買い物をする | 24 | 18.90% |
頼まれた用事をすます為に外出をする | 17 | 13.40% |
その他 | 17 | 13.40% |
調査対象について。
調査期間内に回収された医療機関33施設での精神疾患に関係するものも含むひきこもり件数は723件で、それらのうち調査対象の定義と合致した、精神疾患に関係しないと思われる件数は131件(医療機関のひきこもり件数の18.1%)であった。
この131件のうち、調査の実施に了承が得られ、個別調査票に回答があった9件を医療機関での個別調査の集計対象とした。
精神障害を原因としたひきこもりをきちんと除いている。