岡山大学疫学調査(2003年) http://www.hiki.info/modules/tinycontent/index.php?id=42
「論点ひきこもり」に新しいコーナーを設置。「ひきこもり」に関する情報を蓄積するアーカイブを作る予定。まずは岡山大学疫学2003年調査*1についてアップ。
岡山大学によって行われた「地域疫学調査による「ひきこもり」の実態調査」PDF]についての解説。
2002年に行われた調査に引き続き、2003年に行われた「ひきこもりの数」の推定調査。2002年調査では41万世帯(点推定値)という結果が出ており、この結果は「ひきこもり」関連本では必ずと言っていいほど引用されるが、2003年度調査の結果はまったく知られていない。
2003年度調査では32万世帯(点推定値)という値が出ている。
2002年調査は調査報告書をすべてウェブで読むことが出来るが2003年調査は要旨のみ。
・2003年調査(概要)[PDF]
2003年調査
これを世帯単位の調査と考えれば,2974世帯中20世帯にそのような問題が存在し,その率は0.67% (95%信頼区間o.38%-0.97%)であった。この率を平成15年度の全国の総世帯数にかけると,約32万世帯(95%信頼区間18万〜46万)となる。「ひきこもり」が複数いる世帯は少ないと思われるので,これは現在の「ひきこもり」の量的規模を示唆する数字であると考えられる。
「ひきこもり」における「身分」について。
14人中7人はその時期仕事や学校があったが行かなかったとしており,6人は仕事も学校もなかったという。もう1人はこれについての回答を拒否した。
7人は「ひきこもり」であっても、「ニート」ではない。
6人は「ひきこもり」でありつつ、「ニート」になる。
2003年度調査は2002年度調査と規模以外は同じ調査設計に基づいているので、報告書の読み方はid:matsuwaさんによる解説を参照のこと。
以下は2002年度調査の数値との比較。
2002年度 | 2003年度 | |
---|---|---|
調査地 | 岡山県・鹿児島県・長崎県 | 岡山県・鹿児島県・長崎県+栃木県 |
対象 | 1646人(協力率56.4%) | 2974(協力率58.6%) |
ひきこもり経験 | 9人/690人 | 14人/1186人 |
「ひきこもり」状態の子がいた世帯 | 14/1646世帯 | 20/2974世帯 |
区間推定値(95%信頼区間) | 20万〜63万 | 18万〜46万 |
点推定値(世帯) | 41万 | 32万 |
2003年度調査では栃木が加わり、全体的に調査規模が拡大している。ただし、都会部が含まれていないのは2002年度調査と同じである。
ひきこもり経験者の性別 | 2002年度 | 2003年度 |
---|---|---|
男性 | 8人 | 10人 |
女性 | 1人 | 4人 |
性別はどちらも男性が多いものの、2003年調査ではやや女性が多い。
ひきこもり開始年齢 | 2002年度 | 2003年度 |
---|---|---|
10-14歳 | 2人 | 2人 |
15-19歳 | 3人 | 3人 |
20-24歳 | 1人 | 2人 |
25-29歳 | 1人 | 3人 |
40-44歳 | 1人 | 2人 |
不明 | 1人 | 1人 |
ひきこもり状態にある子の年齢 | 2002年度 | 2003年度 |
---|---|---|
15-19歳 | 1人 | 2人 |
20-24歳 | 2人 | 2人 |
25-29歳 | 3人 | 6人 |
30-34歳 | 2人 | 3人 |
35-39歳 | 1人 | |
40-44歳 | 1人 | |
45-49歳 | 1人 | |
不明 | 5人 | 5人 |
*1:資料が希少であるため入手は国立国会図書館への複写依頼が確実。
複写依頼には郵送でのユーザー登録、または、東京本館・関西館へ赴く必要がある。