井出草平の研究ノート

金沢・二男刺殺


5月10日の事件。「ひきこもり」が関係している可能性が非常に高い。子ども親殺しではなく、この事件は親の子殺し。家庭内暴力に悩んでいたようだ。

 河合容疑者は、博志さんの中学生のころから、ほとんど口をきいていなかった。博志さんは東北地方の短大を卒業したが、就職しないことで河合容疑者と口論するようになった。2〜3年ほど前から、博志さんは両親に暴力を振るうようになり、人格障害アルコール依存症などと診断されて通院し、強制的に入院させられることもあった。
http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub1/isikawa/ho_s1_07060101.htm


父親は「このままでは私たちが暴力を受け続けるだけではなく、周りにも迷惑をかける。家族に将来は無く、殺すしかない」と考えていたようだ。一つ間違えばこのような事件になってしまうケースは決して珍しいものではない。「ひきこもり」を抱える家族というのはここまで追いつめられているものなのである。




金沢・二男刺殺 父親を起訴 家族に将来ない。殺すしか…


 金沢市新保本、無職河合博志さん(当時24歳)が自宅で刺殺された事件で、金沢地検は31日、父親の同所、元金沢市職員河合竹四容疑者(58)を殺人罪金沢地裁に起訴した。起訴状によると、河合容疑者は二男博志さんの家庭内暴力に悩み、5月10日午前5時半ごろ、前日購入した小刀(刃渡り約9センチ)で、自宅2階の和室で寝ていた博志さんの首や胸など7か所を刺して殺害した。

 河合容疑者は、博志さんの中学生のころから、ほとんど口をきいていなかった。博志さんは東北地方の短大を卒業したが、就職しないことで河合容疑者と口論するようになった。2〜3年ほど前から、博志さんは両親に暴力を振るうようになり、人格障害アルコール依存症などと診断されて通院し、強制的に入院させられることもあった。

 今年に入り、ひどくなる暴力から逃れるために、河合容疑者と妻は、度々ホテルに宿泊した。博志さんが両親にあてた手紙には、不平不満が書き連ねられていたという。

 事件の数日前に博志さんは病院から一時帰宅したが、「もう帰らない」と病院へ戻ることを拒否。暴力を振るったため、9日から河合容疑者と妻は金沢市内のビジネスホテルに避難した。

 河合容疑者はホテルに行く前、「このままでは私たちが暴力を受け続けるだけではなく、周りにも迷惑をかける。家族に将来は無く、殺すしかない」と考え小刀を購入した。しかし、迷いもあり、妻に相談することもなく、小刀を買ったことも告げなかった。

 10日朝、自宅に様子を見に帰った時、仏壇と神棚がぐちゃぐちゃに壊されていた。これを見て怒りがこみ上げて来たという。

 「無我夢中で刺してしまった。今は大変なことをしてしまったと思っている」と河合容疑者は供述しているという。

(2007年6月1日 読売新聞)
http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub1/isikawa/ho_s1_07060101.htm



二男殺害、父を逮捕 金沢西署、ナイフで首刺す
北国新報


二男を殺して逮捕された河合容疑者の自宅=10日午後零時40分、金沢市新保本1丁目
 十日午前八時四十五分ごろ、金沢西署に「息子を刺した」と男が出頭してきた。同署員が男の自宅に駆け付けたところ、二階で二男が血を流し、仰向けに倒れて死亡しているのが見つかった。同署は同日、殺人の疑いで、金沢市新保本一丁目、無職河合竹四容疑者(58)を逮捕した。同署は、親子の間で何らかのトラブルがあったとみて、殺害に至った経緯や動機などについて厳しく追及する。
 調べでは、河合容疑者は十日午前六時ごろ、同容疑者の自宅二階の和室で、同居している二男の無職博志さん(24)と口論となり、刃渡り約十センチのナイフで博志さんの首や胸を数回切りつけるなどして殺害した疑い。同容疑者の自宅から犯行に使ったとみられるナイフが見つかった。

 同署によると、河合容疑者は妻(53)と博志さんの三人暮らしで、犯行時、妻は外出していた。

 同署は博志さんの遺体を司法解剖し、死因を調べる。

 現場は金沢市西南部中学校西側の住宅地で、捜査車両が慌しく出入りする様子を住民らが不安な表情で見守った。

 近所の女性は「普段はおとなしい親子。まったく心当たりがない」と事件が信じられない様子。博志さんと子供が同級生だったという女性は「博志さんは真面目でいい子だった。(河合容疑者は)町会活動も積極的にして人当たりもよかった」と驚きを隠せなかった。

 一家は約三十年前から現場の自宅に住んでおり、近所の主婦は「ここ数年、博志さんを見かけていなかったが、数日前に自転車に乗っている姿を見た。その時は元気な様子だった」と話した。

 河合容疑者は元金沢市職員で一九七一(昭和四十六)年に入庁。農業畑を歩み、農業センター所長、農林総務課長などを務め、二〇〇六年三月に農業委員会事務局長で退職した。

 逮捕の知らせを聞き、かつての同僚は「おとなしい人で、けんかをする人じゃない。家庭の事情は分からないが、信じられない」と語り、別の職員も「にこにこした明るい人だったのに」と言葉を失った。

 また、ある農業委員は「あんなまじめな人が…。農業一筋で、虫も殺せないような感じの人だった」と驚いていた。
http://hokkoku.co.jp/_today/E20070510001.htm



24歳二男刺殺父逮捕 金沢自宅で口論の末自首


 金沢西署は10日、息子をナイフで刺して殺害したとして、金沢市新保本、元金沢市職員河合竹四容疑者(58)を殺人の疑いで緊急逮捕した。調べでは、河合容疑者は同日午前6時ごろ、同居する二男の無職博志さん(24)と口論になり、ナイフで首や胸などを切りつけて殺害した。死因は失血死とみられる。

 午前8時45分ごろ、河合容疑者が1人で「息子を刺した」と同署に自首。同署員が河合容疑者宅の2階和室であおむけに倒れている博志さんを発見、すでに死亡していた。遺体には7、8か所の切り傷があり、刃渡り約10センチのナイフも屋内で見つかった。

 博志さんは家族に暴力を振るうことがあり、同署は、家庭内のトラブルが原因とみて調べている。同署の調べでは、博志さんはアルコール依存で通院したことがあったという。

 河合容疑者は博志さんと妻の3人暮らし。妻は市内のホテルに宿泊しており不在だった。

就職めぐりトラブルか
 現場は金沢市郊外の一戸建てが並ぶ住宅街。

 河合容疑者の家族をよく知る近所の男性(73)によると、3年ほど前から、博志さんの就職を巡って、家庭内でトラブルが絶えず、バッタンバッタンと人が暴れているような音や、男性のどなり声、「やめてー」という悲鳴が、毎晩のように聞こえていたという。

 近所に住む60代の女性は「(河合容疑者は)口数が少なくおとなしい人。こんなことになるなんて考えられない」と顔を曇らせていた。

 河合容疑者は、金沢市の元職員で、2003年から農業委員会事務局長と農林総務課長を兼務し、06年3月末に同事務局長(部長級)で退職している。

 河合容疑者を知る職員は「物静かでいつもニコニコしている人だった。農業一筋のまじめな人で、信じられない」と驚き、一緒の職場で仕事をしたことがある農業委員会の職員は「家庭の話など聞いたことはないが、よほどの事があったのではないか。知っている人だけに、胸がドキドキして落ち着かない」とショックを隠さなかった。

(2007年5月11日 読売新聞)
http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub1/isikawa/ho_s1_07051101.htm



団塊の父』と『夢追う息子』 互いの生き方分かりあえず 金沢・ニートの二男刺殺
2007年5月25日 中日新聞

ひっそりとたたずむ無人の河合竹四容疑者の自宅。周囲の目が届かない密室で、親子は衝突し、悲惨な結末を迎えた=24日、金沢市新保本で


 金沢市新保本の住宅街で十日、父親が同居する二十四歳の二男を刺し殺す事件が起きた。殺人容疑で逮捕された河合竹四容疑者(58)は、金沢市役所を昨年退職し、再就職先で第二の人生を歩み始めた団塊世代父親殺害された二男博志さんは短大卒業後、定職に就かず、「物書き」の夢を抱きながらニート生活を送る若者だった。口論が絶えず、家庭内暴力もあったという父子関係はなぜ、最悪の結末を迎えてしまったのか。 (報道部・伊藤弘喜)

確執から家庭内暴力
最悪の結末へ
 金沢西署の調べでは、竹四容疑者は十日午前六時ごろ、自宅二階の和室で、博志さんの首などをナイフで切り付けて殺害した疑いで逮捕された。調べに対して「日ごろから息子の暴力があった」と供述。昨年九月から二回、「息子が暴れている」と、一一〇番していたことも分かった。

 竹四容疑者は事件前日、市内のホームセンターでナイフを購入。暴力から逃れるため、妻(53)とホテルに避難していた。当日は殺害後、「息子は死んだ」と妻に電話。職場に辞表を提出した後、同署に自首した。何らかの覚悟を決めていたのか、妻も同日、夫の電話を受ける前に、パート先に辞表を郵送していた。

 竹四容疑者は市農林総務課長を務めて昨年三月に勧奨退職し、JA金沢中央に再就職した。温厚な人柄で知られ「キチッとした仕事をする」と職場の評価も高かった。

 博志さんは二〇〇五年に仙台市の農業系短大を卒業後、仙台と金沢を行き来していたが、昨年から実家で過ごすようになった。高校で演劇部、短大時代は劇団に所属し、友人に「小説か劇の脚本を書く物書きになりたい」と夢を語っていた。

 一方で、精神的に不安定でアルコールに頼るようになり、四月末には一週間ほど入院した。医療関係者は「症状を考えると、家族はかなり無理して耐えていたのだろう」と、竹四容疑者らに同情する。

 竹四容疑者は「息子が働かず困っている」と漏らし、博志さんは「世間体を気にする」「頭が固い」と父親の愚痴をこぼしていた。友人は「父親が理解してくれず、不満だったのでは」と推測する。二人の確執が、家庭内暴力に発展したとみられている。

 だが、竹四容疑者は暴力を公的機関などに相談した形跡はなく、周囲も危険信号を察知していなかった。ある捜査関係者は「市の管理職を務めたプライドを守りたかったのではないか」とみている。

 九日の夕方、博志さんは十年来の友人に、電話で「本屋で働こうかな」と語ったという。しかし、事件は翌日に起きてしまった。


http://megalodon.jp/?url=http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2007052502018904.html&date=20070526010052



堅実な父、耐えかね 無職・酒乱・家庭内暴力 次男刺殺で起訴 金沢 /石川県
2007年6月1日 朝刊 石川全県・1地方 024 01239文字 朝日新聞

 金沢市内で父親次男を刺殺した事件で、金沢地検は31日、金沢市新保本1丁目の無職河合竹四(たけし)容疑者(58)を殺人罪で起訴した。無職で自宅にこもる息子の家庭内暴力に耐えかねて凶行にいたったとされるが、食い止める方策はなかったのだろうか。
 (浅野直樹、加藤藍子)

 起訴状などによると、竹四容疑者は10日午前5時半ごろ、自宅で、次男の無職博志さん(24)の首などを刃渡り約9センチの小刀で7カ所刺し、失血死させたとされる。

 ●ホテル避難 
 小刀は前日の9日、市内のホームセンターで購入した。博志さんの家庭内暴力がひどくなり、前日夜から妻とホテルに避難していた。
 「殺すしかないのか」。ためらいながらも10日早朝、竹四容疑者は妻をホテルに残し、自宅に戻った。1階で仏壇が壊されているのを見て怒りがわき、殺意を固めた。2階の和室に上がり、眠っていた博志さんに馬乗りになって小刀を首などに突き立てた。

 ●ニート生活
 家庭内暴力は近くの住民も気づいていた。近くに住む男性は「何かが割れる音や『やめて』という叫び声がたびたび聞こえた」と話す。
 金沢西署の調べによると、暴力がひどくなったのは2年ほど前。博志さんは短大卒業後、定職に就かないまま暮らし、酒癖も悪かったという。
 いわゆる「ニート」生活の博志さんに、竹四容疑者が就職について説教したころから、博志さんは物を壊したり、両親を殴ったりしだしたという。
 昨年9月と今年4月には、竹四容疑者と妻から「息子が暴れている」と110番通報があった。金沢西署員がかけつけたが「ことを荒立てたくない」と、竹四容疑者は被害届を出さなかった。
 同署は泥酔していた博志さんを一時保護した後、両親の同意を得て一時入院させた。同署は「事件に発展する可能性も視野に入れ、当時、取るべき措置は取った」としている。

 ●口数少なく
 竹四容疑者は金沢市役所に35年勤め、農業委員会事務局長などを歴任。昨年3月に退職後もJAに再就職して、田んぼの粗起こしなどの作業を黙々とこなしていた。
 JAの同僚は「いかにも役所勤めという堅実な方。口数は少なかった」と話す。犯行後の朝、勤務先を訪れて退職願を提出していた。
 捜査関係者は「次男が定職につかないことや家庭内暴力を『家の恥』と感じ、だれにも相談できなかったのではないか」とみている。

 ◇親心の説教、逆効果にも
 <親子の心理に詳しい早稲田大学山崎久美子教授(臨床心理学)の話> 父が親心で就職しろとか、現実は厳しいと説教しても、息子は焦りを感じている中で、逆に自分が見守られているという感覚が得られず、暴力に走ることがある。
 団塊世代の父が、努力を重ねて「小さな幸せ」を全うしようとしてきた自分の生き方を、口論で次男に否定され、自尊心を傷つけられたことが事件のきっかけになったと予想される。
 解決に一定の時間がかかったかもしれないが、せめて身近な相談者がいれば、不満や怒りを吸収してくれて、展開が変わった可能性がある。



殺人:父親次男を、容疑で逮捕 生活態度巡り口論−−金沢 /石川
2007.05.11 地方版/石川 23頁 (全329字)  毎日新聞


 石川県警金沢西署は10日、次男(24)と口論となりナイフで刺し殺害したとして、石川県金沢市新保本1、無職、河合竹四容疑者(58)を殺人容疑で緊急逮捕した。

 調べでは河合容疑者は同日午前6時ごろ、自宅2階で、次男で無職の博志さん(24)と生活態度などを巡って口論になり、博志さんの首などをナイフ(刃渡り約10センチ)で刺して殺害した疑い。博志さんは上半身の数カ所を刺されており、ナイフは現場で押収された。

 河合容疑者は同日午前8時45分ごろ、同署に「息子を刺した」と1人で自首した。同容疑者は妻(53)と博志さんの3人暮らしで、妻は前日から外出していたという。

 河合容疑者は、昨年3月まで同市役所に勤めており、農業委員会事務局長を最後に退職した。【栗原伸夫】



24歳二男を刺殺、父逮捕 自宅で口論の末、自首 金沢西署=石川
2007. 05. 11 東京朝刊 石川 29頁 823字 04段 写真・図 読売新聞


 金沢西署は10日、息子をナイフで刺して殺害したとして、金沢市新保本、元金沢市職員河合竹四容疑者(58)を殺人の疑いで緊急逮捕した。調べでは、河合容疑者は同日午前6時ごろ、同居する二男の無職博志さん(24)と口論になり、ナイフで首や胸などを切りつけて殺害した。死因は失血死とみられる。
 午前8時45分ごろ、河合容疑者が1人で「息子を刺した」と同署に自首。同署員が河合容疑者宅の2階和室であおむけに倒れている博志さんを発見、すでに死亡していた。遺体には7、8か所の切り傷があり、刃渡り約10センチのナイフも屋内で見つかった。
 博志さんは家族に暴力を振るうことがあり、同署は、家庭内のトラブルが原因とみて調べている。同署の調べでは、博志さんはアルコール依存で通院したことがあったという。
 河合容疑者は博志さんと妻の3人暮らし。妻は市内のホテルに宿泊しており不在だった。
 ◆就職めぐりトラブルか
 現場は金沢市郊外の一戸建てが並ぶ住宅街。
 河合容疑者の家族をよく知る近所の男性(73)によると、3年ほど前から、博志さんの就職を巡って、家庭内でトラブルが絶えず、バッタンバッタンと人が暴れているような音や、男性のどなり声、「やめてー」という悲鳴が、毎晩のように聞こえていたという。
 近所に住む60代の女性は「(河合容疑者は)口数が少なくおとなしい人。こんなことになるなんて考えられない」と顔を曇らせていた。
 河合容疑者は、金沢市の元職員で、2003年から農業委員会事務局長と農林総務課長を兼務し、06年3月末に同事務局長(部長級)で退職している。
 河合容疑者を知る職員は「物静かでいつもニコニコしている人だった。農業一筋のまじめな人で、信じられない」と驚き、一緒の職場で仕事をしたことがある農業委員会の職員は「家庭の話など聞いたことはないが、よほどの事があったのではないか。知っている人だけに、胸がドキドキして落ち着かない」とショックを隠さなかった。
 
 図=地図
 
 写真=河合博志さん

逮捕の父、二男の暴力で2度通報 刺殺前日にナイフ購入 金沢西署調べ=石川
2007. 05. 12 東京朝刊 石川 27頁 509字 03段 読売新聞


 金沢市父親が二男を刺殺した事件で、殺人容疑で逮捕された金沢市新保本、元金沢市職員河合竹四容疑者(58)は、金沢西署の調べに対し、「日ごろから息子に暴力を受けていた」と供述、ナイフを前日に購入していたことが分かった。
 河合容疑者宅から「息子が暴れている」という110番通報が昨年9月と先月上旬にあったことも分かり、同署では、二男博志さん(24)の家庭内暴力が動機につながっているとみている。
 調べによると、110番通報は、「息子が仕事をしないことを注意したら暴れ出した」という内容で、河合容疑者と妻(53)から、それぞれあった。同署員が駆けつけたが、河合容疑者は「息子だから訴えるつもりはない」と話したという。
 河合容疑者は10日早朝、博志さんを刺殺し同署に自首したが、9日夜は妻と金沢市内のホテルに宿泊していた。
 河合容疑者は「殺すつもりはなかった」と殺意を否認する一方、刺している時に「楽にしようと思い刺しました」とも供述している。博志さんの就職を巡って、2、3年前から口論することが多くなり、博志さんは酒を飲んで暴れることもあったという。
 博志さんに抵抗した形跡は見られず、同署などは、さらに詳しく動機などについて調べる。

金沢の二男刺殺 父「仏壇壊され殺意」 小刀で首や胸7か所刺す=石川
2007. 05. 16 東京朝刊 石川 31頁 413字 03段 読売新聞


 金沢市で父が二男を刺殺した事件で、殺人容疑で緊急逮捕された金沢市新保本、元金沢市職員河合竹四容疑者(58)が、金沢西署などの調べに、二男の博志さん(当時24歳)に壊された仏壇を自宅に戻った時に見て、「こんなことを続けていたらどうしようもない」と殺意を抱いたと供述していることが分かった。
 河合容疑者は博志さんの家庭内暴力に日ごろから悩んでおり、同署などは、さらに詳しく調べる。
 これまでの調べでは、河合容疑者と妻(53)は、博志さんの暴力から逃れるために、数日間、同市内のホテルに宿泊していた。
 殺害に使った小刀は、9日に購入したもので、車の中に置いていたという。
 10日朝、自宅の様子を見に戻った時、仏壇が壊されているのを見て殺意が芽生え、横になっていた博志さんを小刀で首や胸など7か所刺した。直後に、ホテルの妻に「刺してしまった。死んでしまった」と電話。勤務先のJA金沢中央(金沢市)に辞表を出してから、金沢西署に自首したという。



金沢・二男刺殺 「家族に将来ない。殺すしか…」 父親を起訴=石川
2007. 06. 01  東京朝刊 石川 29頁 717字 05段 読売新聞


 金沢市新保本、無職河合博志さん(当時24歳)が自宅で刺殺された事件で、金沢地検は31日、父親の同所、元金沢市職員河合竹四容疑者(58)を殺人罪金沢地裁に起訴した。起訴状によると、河合容疑者は二男博志さんの家庭内暴力に悩み、5月10日午前5時半ごろ、前日購入した小刀(刃渡り約9センチ)で、自宅2階の和室で寝ていた博志さんの首や胸など7か所を刺して殺害した。
 河合容疑者は、博志さんの中学生のころから、ほとんど口をきいていなかった。博志さんは東北地方の短大を卒業したが、就職しないことで河合容疑者と口論するようになった。2〜3年ほど前から、博志さんは両親に暴力を振るうようになり、人格障害アルコール依存症などと診断されて通院し、強制的に入院させられることもあった。
 今年に入り、ひどくなる暴力から逃れるために、河合容疑者と妻は、度々ホテルに宿泊した。博志さんが両親にあてた手紙には、不平不満が書き連ねられていたという。
 事件の数日前に博志さんは病院から一時帰宅したが、「もう帰らない」と病院へ戻ることを拒否。暴力を振るったため、9日から河合容疑者と妻は金沢市内のビジネスホテルに避難した。
 河合容疑者はホテルに行く前、「このままでは私たちが暴力を受け続けるだけではなく、周りにも迷惑をかける。家族に将来は無く、殺すしかない」と考え小刀を購入した。しかし、迷いもあり、妻に相談することもなく、小刀を買ったことも告げなかった。
 10日朝、自宅に様子を見に帰った時、仏壇と神棚がぐちゃぐちゃに壊されていた。これを見て怒りがこみ上げて来たという。
 「無我夢中で刺してしまった。今は大変なことをしてしまったと思っている」と河合容疑者は供述しているという。