インターネットゲーム障害のスクリーニングIGDT-10

2020年2月6日(木)にゲーム依存症対策関係者連絡会議でゲーム障害の調査がされていることが久里浜医療センターの樋口進さんによって明らかにされた。

www.mhlw.go.jp

若者のゲーム行動に関する全国調査
若者のゲーム行動やゲームに起因する問題の実態を明らかにするために2019年 1~3月に全国調査を実施した。
調査対象者は、住民基本台帳から層化二段無作為抽出により選ばれた10歳~ 29 歳の若者9,000名である。
質問票には以下の質問が含まれていた。 1) 家族・社会的背景 , 2) インターネット使用状況 , 3) ゲーム使用状況 , 4) 過剰なゲームによる問題 , 5) YDQ, IGDT-10, 6) e スポーツ
5,096 名から回答を得、回収率は 56.6% であった。

5番に上げられているIGDT-10というのがゲーム障害のスクリーニングである。

IGDT-10

ハンガリーのKirályらによって開発された尺度。DSM-5のインターネットゲーム障害のスクリーニングである。

www.ncbi.nlm.nih.gov Király, Validation of the Ten-Item Internet Gaming Disorder Test (IGDT-10) and evaluation of the nine DSM-5 Internet Gaming Disorder criteria. Addict Behav. 2017 :253-260.

7か国語での研究などもパブリッシュされている。ペルー語版がなにやらおかしいらしい。 www.ncbi.nlm.nih.gov Király, Ten-Item Internet Gaming Disorder Test (IGDT-10): Measurement invariance and cross-cultural validation across seven language-based samples.Psychol Addict Behav. 2019 :91-103.

日本におけるIGDT-10

先日、インターネット依存の質問紙であるYDQ/IADQの日本語版の妥当性・信頼性の研究がなく、日本での調査が原著とは異なる内容で実施されている点を指摘した。

ides.hatenablog.com

IGDT-10にも日本語版があるようなのだが、こちらも妥当性・信頼性の報告がない。DSM-5に診断基準が掲載されているので、妥当性の研究は問題なくできるはずだが、やはり見つからない。

NHKあさイチで樋口進さんがセルフチェック項目としてIGDT-10を紹介していたようだ。

www1.nhk.or.jp

f:id:iDES:20200209010613j:plain

あさイチで紹介されたものは原版の文章とはかなり違うので、要約版であろう。テレビなのでフル項目は表示できないのは仕方ないが、それであれば要約であることを明示すべきである。要約をして原版のクレジットを入れるのは、これもかなりマズイ。

要約ではない日本語版は『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』に掲載されている。

ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/06/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

まったくなかった きどきあった よくあった
1 ゲームをしていないときにどれくらい頻繁に、ゲームのことを空想したり、以前にしたゲームのことを考えたり、次にするゲームのことを思ったりすることがありましたか。 0 1 2
2 ゲームが全くできなかったり、いつもよりゲーム時間が短かったとき、どれくらい頻繁にソワソワしたり、イライラしたり、不安になったり、悲しい気持ちになりましたか 0 1 2
3 過去12ヵ月間で、十分ゲームをしたと感じるために、もっと頻繁に、またはもっと長い時間ゲームをする必要があると感じたことがありますか 0 1 2
4 過去12ヵ月間で、ゲームをする時聞を減らそうとしたが、うまくいかなかったことがありますか 0 1 2
5 過去12ヵ月間で、友人に会ったり、以前に楽しんでいた趣昧や遊びをすることよりも、ゲームのほうを選んだことがありますか 0 1 2
6 なんらかの問題が生じているにもかかわうす、長時間ゲームをしたことがありますか。問題とはたとえば、睡眠不足、学校での勉強や職場での仕事がはかどうない、家族や友人と口論する、するべき大切なことをしなかった、などです 0 1 2
7 自分がどれくらいゲームをしていたかについて、家族、友人、またはほかの大切な人にばれないようにしようとしたり、ゲームについてそのような人たちに嘘をついたことがありますか 0 1 2
8 嫌な気持ちを晴らすためにゲームをしたことがありますか。嫌な気持ちとは、たとえば、無力に感じたり、罪の意識を感じたり、不安になったりすることです 0 1 2
9 ゲームのために大切な人間関係を危うくしたり、失ったことがありますか 0 1 2
10 過去12ヵ月間で、ゲームのために学校での勉強や職場での仕事がうまくできなかったことがありますか 0 1 2

質問1~8の「よくあった」を各1点、質問9~10はどちらかまたは両方が「よくあったJ場合を1点と数えます。合計5点以上の場合に「ゲーム依存」と考えられます。

質問紙の冒頭に答え方があるのだが、樋口さんの本には掲載されていなかったので、英文から訳してみた。

オンラインゲームについての以下の文章をお読みください。アンケートはオンラインゲームに関するものですが、簡単にするために「ゲーム」という言葉を使用しています。以下のそれぞれの質問が、過去12ヶ月間、どの程度、どれくらい頻繁に、あなたにあてはまるか、0~2(まったくなかった、ときどきあった、よくあった)から選んでください。(井出草平訳)

DSM-5は9項目だが、IGDTが10項目になっているのは、DSM-5の9項目目が「インターネットゲームへの参加のために、大事な交友関係、仕事、教育や雇用の機会を危うくした、または失ったことがある。」というもので、IGDTでは9と10に分けて聞いたためのようだ。

日本語訳は非常にうまく翻訳されている。また、IGDT-10そのものはDSM-5の項目にかなり忠実なように思える。

原版 IGDT-10

Please read the statements below regarding online video gaming. The questionnaire refers to ONLINE GAMES, but the reference to ’game’ or ’gaming’ is used for the sake of simplicity. Please, indicate on the scale from 0 to 2 (Never, Sometimes, Often) to what extent, and how often, these statements applied to you over the PAST 12 MONTHS!

Never Sometimes Often
1 When you were not playing, how often have you fantasized about gaming, thought of previous gaming sessions, and/or anticipated the next game? 0 1 2
2 How often have you felt restless, irritable, anxious and/or sad when you were unable to play or played less than usual? 0 1 2
3 Have you ever in the past 12 months felt the need to play more often or played for longer periods to feel that you have played enough? 0 1 2
4 Have you ever in the past 12 months unsuccessfully tried to reduce the time spent on gaming? 0 1 2
5 Have you ever in the past 12 months played games rather than meet your friends or participate in hobbies and pastimes that you used to enjoy before? 0 1 2
6 Have you played a lot despite negative consequences (for instance losing sleep, not being able to do well in school or work, having arguments with your family or friends, and/or neglecting important duties)? 0 1 2
7 Have you tried to keep your family, friends or other important people from knowing how much you were gaming or have you lied to them regarding your gaming? 0 1 2
8 Have you played to relieve a negative mood (for instance helplessness, guilt, or anxiety)? 0 1 2
9 Have you risked or lost a significant relationship because of gaming? 0 1 2
10 Have you ever in the past 12 months jeopardized your school or work performance because of gaming? 0 1 2