井出草平の研究ノート

「ゲーム脳の信憑性」を現役医師が怪しむ理由(東洋経済)

toyokeizai.net

鳩山由紀夫さんのツイートはこれのようだ。

東北大学加齢医学研究所の研究はこれだろうか。

www.sairct.idac.tohoku.ac.jp

論文はこれのようだ。

www.nature.com

インターネット依存の併存症のレビュー

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

  • Carli et al., 2013, The association between pathological internet use and comorbid psychopathology: a systematic review. Psychopathology. 46(1):1-13.

この論文でインターネット依存は、病的インターネット利用(Pathological Internet Use: PIU) という用語が使われている。

概要

75%の論文が病的インターネット利用とうつ病、57%が不安、100%がADHDの症状、60%が強迫性障害の症状、66%が敵意/攻撃性との有意な相関を報告していた。病的インターネット利用と社会恐怖症との関連を報告した研究はなかった。大多数の研究では、女性よりも男性の方がPIUの発症率が高いと報告されている。最も強い相関関係が観察されたのはうつ病であり、最も弱い相関関係は敵意/攻撃性であった。

以下文献は論文で使われている引用文献番号を使用する。

性別

11件の研究[63, 65-67, 69, 70, 72, 75-78]では、男性の有病率が有意に高かった。 3件の研究[68, 71, 74]では、有意な性差は認められなかった。 女性のPIU率が高いと報告した研究はなかった。

地域

アジアでは、PIUとうつ病ADHDの症状、不安、強迫症状との関連性に関する4つの研究[68, 76 -78]で大きな効果の大きさが観察された。 すべてのヨーロッパの研究では、PIUと相関のあるうつ病[63, 80]、不安、強迫症状[69]との間に大きな効果があった。米国の研究では、PIUとうつ病の間の効果の大きさが小さいことが報告されている [71] 。

うつ病

12の研究で関連があり、3つの研究で男性のみの関連、2つの研究で関連がみられなかった。

関連あり
63 d=1.93, 64 d=0.49, 68 d=1.15, 70 OR=1.21, 71 d=0.27, 72 R2=0.101, 73 OR=0.13, 74 d=0.10, 79 d=1.23, 80 R2=0.250, 81 d=0.49
男性のみ
65 OR=3.7, 75 OR=0.05, 76 OR=4.53
関連なし
62, 66

不安症

4つの研究で関連性が認められたが、4つの研究では関連性は認められなかった。

関連あり
64 d=0.18, 68 d=1.15, 69 OR=11.24, 79 OR= 11.66
関連なし
70 OR=0.79, 73(社会恐怖), 75, 76 (社会恐怖)

ADHD

5つの研究すべてで関連があった。 62 HR=1.72, 73 OR=1.08, 76 OR=4.53, 77 OR=2.84, 78 d=0.76

敵意/攻撃性

5つの研究で関連があり、1つの研究で関連が無かった。

関連あり
62 HR=1.67, 64 d=0.42, 67 OR=1.30, 70 OR=1.47, 73 OR=1.02
関連なし
75

文献

  • 62 Ko CH, Yen JY, Chen CS, Yeh YC, Yen CF: Predictive values of psychiatric symptoms for Internet addiction in adolescents: a 2-year prospective study. Arch Pediatr Ado-lesc Med 2009; 163: 937–943.
  • 63 Morrison CM, Gore H: The relationship be-tween excessive Internet use and depression: a questionnaire-based study of 1,319 young people and adults. Psychopathology 2010; 43: 121–126.
  • 64 Xiuqin H, Huimin Z, Mengchen L, Jinan W, Ying Z, Ran T: Mental health, personality, and parental rearing styles of adolescents with Internet addiction disorder. Cyberpsy-chol Behav Soc Netw 2010; 13: 401–406.
  • 65 Lam LT, Peng ZW, Mai JC, Jing J: Factors as-sociated with Internet addiction among ado-lescents. Cyberpsychol Behav 2009; 12: 551–555.
  • 66 Yen CF, Ko CH, Yen JY, Chang YP, Cheng CP: Multi-dimensional discriminative fac-tors for Internet addiction among adoles-cents regarding gender and age. Psychiatry Clin Neurosci 2009; 63: 357–364.
  • 67 Ko CH, Yen JY, Liu SC, Huang CF, Yen CF: The associations between aggressive behav-iors and Internet addiction and online activ-ities in adolescents. J Adolesc Health 2009; 44: 598–605.
  • 68 Ni X, Yan H, Chen S, Liu Z: Factors inf luenc-ing Internet addiction in a sample of fresh-men university students in China. Cyberpsy-chol Behav 2009; 12: 327–330.
  • 69 Bakken IJ, Wenzel HG, Gotestam KG, Jo-hansson A, Oren A: Internet addiction among Norwegian adults: a stratified prob-ability sample study. Scand J Psychol 2009; 50: 121–127.
  • 70 Yen JY, Ko CH, Yen CF, Chen SH, Chung WL, Chen CC: Psychiatric symptoms in ado-lescents with Internet addiction: comparison with substance use. Psychiatry Clin Neuro-sci 2008; 62: 9–16.
  • 71 Fortson BL, Scotti JR, Chen YC, Malone J, Del Ben KS: Internet use, abuse, and depen-dence among students at a southeastern re-gional university. J Am Coll Health 2007; 56: 137–144.
  • 72 Ha JH, Kim SY, Bae SC, Bae S, Kim H, Sim M, Lyoo IK, Cho SC: Depression and Inter-net addiction in adolescents. Psychopathol-ogy 2007; 40: 424–430.
  • 73 Yen JY, Ko CH, Yen CF, Wu HY, Yang MJ: The comorbid psychiatric symptoms of In-ternet addiction: attention deficit and hyper-activity disorder (ADHD), depression, social phobia, and hostility. J Adolesc Health 2007; 41: 93–98.
  • 74 Kim K, Ryu E, Chon MY, Yeun EJ, Choi SY, Seo JS, Nam BW: Internet addiction in Ko-rean adolescents and its relation to depres-sion and suicidal ideation: a questionnaire survey. Int J Nurs Stud 2006; 43: 185–192.
  • 75 Jang KS, Hwang SY, Choi JY: Internet addic-tion and psychiatric symptoms among Ko-rean adolescents. J Sch Health 2008; 78: 165 –171.
  • 76 Ko CH, Yen JY, Chen CS, Chen CC, Yen CF: Psychiatric comorbidity of Internet addic-tion in college students: an interview study. CNS Spectr 2008; 13: 147–153.
  • 77 Yen JY, Yen CF, Chen CS, Tang TC, Ko CH: The association between adult ADHD symp-toms and Internet addiction among college students: the gender difference. Cyberpsy-chol Behav 2009; 12: 187–191.
  • 78 Yoo HJ, Cho SC, Ha J, Yune SK, Kim SJ, Hwang J, Chung A, Sung YH, Lyoo IK: At-tention deficit hyperactivity symptoms and Internet addiction. Psychiatry Clin Neurosci 2004; 58: 487–494.
  • 79 Whang LS, Lee S, Chang G: Internet over-users’ psychological profiles: a behavior sa mpling a na lysis on Internet add ict ion. Cy-berpsychol Behav 2003; 6: 143 –150.
  • 80 Ceyhan AA, Ceyhan E: Loneliness, depres-sion, and computer self-efficacy as predic-tors of problematic Internet use. Cyberpsy-chol Behav 2008; 11: 699–701.
  • 81 Cheung LM, Wong WS: The effects of in-somnia and Internet addiction on depres-sion in Hong Kong Chinese adolescents: an exploratory cross-sectional analysis. J Sleep Res 2011; 20: 311–317.

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概念化

病的インターネット利用は、酩酊状態を伴わない衝動制御障害として概念的にモデル化されており、行動嗜癖に関連する資質を共有している。

  • Dowling NA, Quirk KL: Screening for Internet dependence: do the proposed diagnostic criteria differentiate normal from dependent Internet use? Cyberpsychol Behavior 2009; 12: 21–27.

不安はインターネット依存を示す指標

  • Kim HK, Davis KE: Toward a comprehensive theory of problematic Internet use: evaluating the role of self-esteem, anxiety, flow, and the self-rated importance of Internet activities. Comput Human Behav 2009; 25: 490–500.
  • Weinstein A, Lejoyeux M: Internet addiction or excessive Internet use. Am J Drug Alcohol Abuse 2010; 36: 277–283.

疑似相関

全く関連が見いだせないが、データ上は相関関係のみられる変数について。

本も出版されているようだ。

Spurious Correlations

Spurious Correlations

  • 作者:Vigen, Tyler
  • 発売日: 2015/05/12
  • メディア: ハードカバー

このエントリの元ネタはこちら。

www.tylervigen.com

Gigazineでもこれらの疑似相関が取り上げられている。

gigazine.net

「米国の科学・宇宙・技術への支出」と「首吊り、絞め殺し、窒息死による自殺」

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「プールに落ちて溺死した人の数」と「ニコラス・ケイジの出演作品」

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「一人当たりのチーズ消費量」と「ベッドシーツに絡まって死亡した人の数」

f:id:iDES:20200904041035p:plain

メイン州の離婚率」と「マーガリンの一人当たり消費量」

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「ミス・アメリカの年齢」と「蒸気、高温の蒸気、高温の物体による殺人」

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アミューズメント施設事業の売上高」と「米国で授与されたコンピュータサイエンスの博士号」

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「世界の非商業宇宙空間での打ち上げ」と「社会学博士号取得(米国)」

f:id:iDES:20200904041123p:plain

 「モッツァレラチーズの一人当たり消費量」と「土木博士号取得」

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「漁船から転落して溺死した者」と「ケンタッキー州の婚姻率」

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「米国のノルウェーからの原油輸入」と「列車との衝突で運転士が死亡」

f:id:iDES:20200904041203p:plain

「鶏肉の1人当たり消費量」と「米国の原油総輸入量」

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「水泳プールで溺死した人数」と「米国の原子力発電所の発電量」

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「米国で販売されている日本の乗用車」と「自動車衝突による自殺」

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「Scripps National Spelling Bee受賞の手紙数」と「毒グモによる死者数」

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「数学博士号授与」と「米国の原子力発電所に貯蔵されているウラン」

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(ひと)小幡和輝さん ゲームの家庭教師サービスを立ち上げた(朝日新聞)

digital.asahi.com

 小学2年から中学卒業まで学校へ行かず、ゲーム漬けの日々を送った。総プレー時間は3万時間を超えた。勝つことで自信を深め、ゲームを通じたつながりが支えとなり、「救われた」。その経験をもとに昨秋、ビデオ通話で攻略法などを教える家庭教師サービス「ゲムトレ」を立ち上げた。 香川県でゲーム依存症対策の条例が成立するなど批判の声もあるが、「使い方次第」と言い切る。「意味のある時間を過ごせば後で生きてくる。ゲームは人生の役に立つ」

インターネット依存の遺伝率

www.ncbi.nlm.nih.gov

オランダの双子登録に登録された一卵性双生児(MZ)と二卵性双生児(DZ)の5247人の思春期双生児から、強迫的なインターネット使用に関するデータを分析。18歳未満が対象。使用されている尺度はCompulsive Internet Use Scale (CIUS)であり、論文では、CIUSの内部一貫性は高く、サブサンプル(n = 902)の1.6年間のテスト-再テストの相関は0.55だと書かれてある。CIUSの平均値は男子と女子で同じだったが、男子はゲームに費やす時間が多く、女子はSNSやチャットに費やす時間が多いという違いがあった。

CIUSスコアの個人差の48%は遺伝的要因の影響を受けていました。残りの分散(52%)は、固有の環境影響だった。双子に共有された環境的影響(家族の社会経済的背景、子育てスタイル、近隣の特性など)の寄与は観察されなかった。よって、家族間で共有されていない環境的な影響によるものと考えられる。固有の環境影響には、社会的要因だけではなく、個人の遺伝以外の生得的リスクも含まれる。

論文の結論は下記のようになっている。

強迫的なインターネット利用を減らすことに関心のある政策立案者やカウンセラーは、家族の環境を共有することはおそらく重要ではなく、強迫的なインターネット利用の傾向は遺伝的要因によって大きく左右されることを認識すべきである。
Policy makers and counselors interested in reducing compulsive Internet use should be aware that shared family environment is probably not important, and liability to compulsive Internet use is largely driven by genetic factors.

この論文に対しては、Petry et al. (2018)がインターネット依存の計測が専門家の間で一致していないとして計測の問題を指摘している。Petryらが言うようにインターネット依存は精神障害だという一致はされておらず、診断基準も作成されていない。一方で、CIUSを使った遺伝率が高いというのは興味深い内容のように感じる。CIUSで計測される者はそれほど病理性が高くない者も含まれる。おそらく、使いすぎ程度の者が大半だろう。しかし、そういった計測方法でも、双子に共有された環境的影響の影響がみられなかったというのは、病理性の高い依存症のコア群は生物学的要因が高く、それよりもマイルドな閾値以下の群では社会的要因が高いといった説明モデルを支持しない(否定ではない)。計測されているのは、SESや子育てスタイル程度であり、これらの項目だけの計測だけで、社会的影響の影響が無いとは言えない。他の社会的因子が影響している可能性は高いが、計測の難易度の高さについて考えさせられる論文である。

先行研究

インターネット使用の分散の58%(女子)から66%(男子)までを遺伝的要因が説明していると報告されている(Li et al. 2014)。

疫学

男子はゲームに費やす時間が多く、女子はSNSやチャットに費やす時間が多かった。

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遺伝率

ADEモデルを使って分析している。ADEモデルは、3つの要素である相加的遺伝因子 (A) 、遺伝的優性 (D) 、および固有の環境因子 (E) による遺伝率の推定方法である(Falconer & Mackay 1996)。強迫的インターネット使用のために、 DZ相関がMZ相関の2倍以下であると仮定して、共有環境はモデルに含めていない。

  • Falconer DS, Mackay TFC (1996) Quantitative Genetics. Essex: Longman Group Ltd.

Introduction to Quantitative Genetics

Introduction to Quantitative Genetics

MZの相関は0.49と非常に高く、DZの相関の0.21よりもかなり大きい。相関のこのパターンは、共有された環境的影響がないことを示しており、遺伝的非加法性(D)を含むADEモデルをデータに適合させた。D成分は、モデルを有意に悪化させることなく削除するしている(P = 0.180)。

−2LL d.f. versus Δd.f. χ2 P
1. Saturated model 37 408.512 5237
2. as 1, standard deviation males = females 37 410.574 5238 1 1 2.062
3. as 2, and no sex effect on mean 37 411.992 5239 2 1 1.417 0.234
4. as 3, and no age effect on mean 37 421.349 5240 3 1 10.774 0.005
5. as 3, and r (MZM) = r (MZF), r (DZM) = r (DZF) = r (DOS) 37 421.644 5243 3 3 0.652 0.884

monozygotic male (MZM) twin pairs, dizygotic male (DZM) twin pairs, monozygotic female (MZF) twin pairs, dizygotic female (DZF) twin pairs, dizygotic opposite sex (DOS) twin pairs

CIUSスコアの個人差の遺伝性は48%であったが、残りの分散(52%)は固有の環境影響によるものであった。

Full model Best Model
Saturated model
r (MZM) (95 percent CI) 0.45 (0.36–0.55) 0.49 (0.44–0.54)
r (MZF)(95 percent CI) 0.51 (0.44–0.56)
r (DZM)(95 percent CI) 0.20 (0.07–0.31) 0.21 (0.15–0.26)
r (DZF) (95 percent CI) 0.21 (0.12–0.30)
r (DOS) (95 percent CI) 0.21 (0.13–0.28)
ß1 (effect of sex on CIUS) 0.31
ß2 (effect of age on CIUS) 0.30 0.30
CIUS a males age 16 10.76 10.54 a
CIUS a females at age 16 10.45
Standard deviation males 8.61 8.76
Standard deviation females 8.86
Genetic model (ADE) model
Proportion of variance explained by Additive genetic factors (95 percent CI) 0.33 (0.32–0.50) 0.48 (0.43–0.52)
Proportion of variance explained by Dominant genetic factors (95 percent CI) 0.16 (0.16–0.16)
Proportion of variance explained by Environmental factors (95 percent CI) 0.51 (0.46–0.56) 0.52 (0.48–0.57)

インターネット依存のレビュー

www.ncbi.nlm.nih.gov

ナンシー・ペトリーによるレビュー。ナンシー・ペトリーはアメリカ精神医学会のDSM-5の物質使用と関連障害ワークグループの議長であった人物だ。インターネット依存・嗜癖DSM-5、ICD-11共に収録されていない。

インターネット依存は標準化されていない定義や、異なる症状や構成要素に対応する複数の尺度が使われており、Laconi et al. (2014)のレビューでは、45の異なる尺度が存在すると述べられている。

Facebookに特化したThe Bergen Facebook Addiction Scale(Andreassen et al. 2012)であったり、スマートフォン依存症(Kwon et al. 2013)などの尺度もある。

インターネットの用途はさまざまであり、異なるグループの人々を惹きつけている。例えば、ソーシャルネットワークを過度に利用する人々は、オンラインでポルノを問題視する人々とは異なる危険因子や共存症を持っている可能性があり、異なる問題を抱えるように見える。また、インターネット上のアプリケーションが時間の経過とともに変化していくため、新しいサイトや機能ごとに尺度を開発して評価することによって、問題は扱いにくなり、すぐに時代遅れになってしまう。

有病率

2016年までに実施された全国的に代表的な一般集団のサンプルから抽出された3,000人以上の回答者を対象とした調査をまとめた。これらの研究では、有病率は0.6%から22%以上の範囲であった。これら17の研究では、10種類の異なる尺度が使われており、このことが有病率を生み出していることは明らかである。

筆頭著者、年 N 年齢 計測尺度 %
Kim, 2016 韓国 6510 18-64 Internet Addiction Test 0.6
Bakken, 2009 ノルウェー 3399 16-74 Young Diagnostic Questionnaire 1.0
Rumpf, 2014 ドイツ 15023 14-64 Compulsive Internet Use Scale 1.0
Tsitsika, 2014 ヨーロッパ7か国 13284 14-17 Internet Addiction Test 1.2
Mak, 2014 アジア6カ国 5366 12-18 Internet Addiction Test 1.2-4.9
Johanssson, 2004 ノルウェー 3237 12-18 Young Diagnostic Questionnaire 2.0
Muller, 2017 ドイツ 9293 12-19 Assessment of Internet and Computer Game Addiction 2.6
Ha, 2014 韓国 56086 12-18 Korean-Internet addiction short form 2.8
Yoo, 2014 韓国 73328 12-19 Internet Addiction Self-Diagnosis Brief Scale 3.0
Macur, 2016 スロベニア 6282 18-95 Problematic Internet Use Questionnaire-Short Form 3.1
Durkee, 2012 主にヨーロッパ11か国*** 12395 Mean 15 Young Diagnostic Questionnaire 4.4
Li, 2014 中国 24013 7-15 Young Diagnostic Questionnaire 6.3
Wang, 2013 中国 95322 13-24 Diagnostic Questionnaire for Internet Addiction 7.5
Mihara, 2016 Japan 100050 12-19 Young Diagnostic Questionnaire 7.9
Cao, 2011 中国 17599 10-24 Young Internet Addiction Scale 8.1
Lin, 2011 台湾 3616 College Chen Internet Addiction Scale - Revised 15.3
Ahmadi, 2014 イラン 4342 Mean 16 Young Internet Addiction Scale 22.2

併存症

Carli et al. (2013)は、インターネット依存と他の精神障害との併存症に関して評価した研究は20があると報告している。ADHDの症状とインターネット依存を評価した研究の100%が2つの条件の間に有意な関連を発見した。うつ病は、75%の研究で関連が認められ、強迫性症状は60%、不安については57%であった。このレビューには物質使用障害は含まれていないが、インターネット依存と物質使用問題との関連も報告されている(Ko et al. 2008, Yen et al. 2009)。

  • Carli V, Durkee T, Wasserman D, Hadlaczky G, Despalins R, et al. The association between pathological internet use and comorbid psychopathology: A systematic review. Psychopathology. 2013;46(1):1-13. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22854219

リスク

男性と女性は一般的なインターネット依存症状を示す可能性が同じ程度である(Durkee et al. 2012)。ソーシャルネットワークサイトの問題に特化した研究では、女性の方が困難を抱える(Andreassen & Pallesen 2014)。また、年齢が若いこともリスクになる(Bakken et al. 2009; Kim et al. 2016; Macur et al. 2016; Rumpf et al. 2014)。

前方視野的研究では、うつ病ADHD社会恐怖症、敵意などの感情的な問題が、2年後までのインターネット依存問題の発症と関連していることがわかっている(Ko et al. 2009, Strittmatter et al. 2016)。親の葛藤やインターネット利用の規制不足などの家族要因は、思春期のインターネット依存も同様に予測した(Ko et al. 2015)。

神経画像研究と遺伝

インターネット依存者では、薬物使用者と同様に、より低い異方性比率、白質異常の指標(Lin et al. 2012) 、anterior and posterior cingulate cortex、 left insula、およびleft lingual gyrusにおける灰白質容積の低さ(Zhou et al. 2011)がある。これは報酬に対する感受性の増大を反映している可能性がある。

Lee et al.(2008)ではセロトニントランスポーター遺伝子がインターネット依存において何らかの関係がある可能性があると報告されており、他の研究(Li et al. 2014, Vink et al. 2016)では、遺伝的因子がインターネット依存の分散の48%から66%を説明していることが示されている。しかし、インターネット依存を分類する一貫しており、かつ、有効な方法がなければ、遺伝学的研究は時期尚早の可能性がある。

治療

25人以上の患者を対象としたインターネット依存の治療のランダム化試験は2件しか発表されていない。Zhong et al. (2011) は、グループベースの家族介入により、通常の治療と比較して治療後3ヵ月間の改善を報告したが、治療中の差は認められなかった Zhu et al. (2012)は、電気鍼治療がインターネット依存の症状を軽減しており、同時に認知行動療法が効果があることを指摘している。