井出草平の研究ノート

各自治体のギャンブル依存症対策にネット・ゲームが紛れ込んでいる件

都道府県レベルでギャンブル依存症への対策について支援計画などがでているが、そこにゲームとネットが紛れ込んでいるらしい。

基になっている法律は「ギャンブル等依存症対策基本法」(平成三十年法律第七十四号)である。

ギャンブル等依存症対策基本法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC1000000074

第二条 この法律において「ギャンブル等依存症」とは、ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。第七条において同じ。)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。

「ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為をいう。第七条において同じ。)」と書いてあるので、ネットやゲームは含まれないはずである。

徳島県ギャンブル等依存症対策推進計画

www.pref.tokushima.lg.jp

5 ギャンブル等への依存がもたらす影響
スマホゲームでもランダムにアイテムを入手するために課金することが、ギャンブル等のきっかけとなることが考えられます。このような状況がさらに進むと、借金や欠勤、犯罪など本人のみならず家族や友人、職場などの周囲の人々にも影響が広がる恐れがあります。
<具体的な取組>
【学校】
高等学校、特別支援学校において、保健教育等の時間を活用し、行き過ぎたギャンブル等への傾倒がもたらす悪影響についての啓発や、ゲーム・インターネット等のプロセスへの依存についての理解を促進。特に、課金を伴うオンラインゲームの過度の利用がギャンブル等依存症につながる危険性についての啓発

横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)素案

www.city.yokohama.lg.jp

 まず「特定の物質に対する依存症」には、アルコールや薬物(合法の薬剤含む)のほか、たばこ(ニコチン)などの嗜好品への依存などが見られます。また、「特定の行動に対する依存症」には、ギャンブル等のほか、買い物、インターネット利用、性行為、窃盗などへの依存が見られます。いずれも、依存することによって日常生活や健康に問題が生じているにもかかわらず、自らコントロールできない状態に陥っている点が共通しています
 「特定の行動に対する依存症」の中で、近年注目が集まっているものが、ゲームに対する依存症、いわゆる「ゲーム障害」です。ゲームに熱中して生活リズムが乱れてしまう、学校や職場でもゲームをしてしまう、といった日常生活上の問題のほか、オンラインゲーム等で過度の課金を行ってしまうといった経済的な問題等も合わせて発生する場合もあることがゲーム障害の特徴として指摘されています。こうしたことから、令和元年5月に、WHO(世界保健機関)はゲーム障害を精神疾患の一つとして位置付け、我が国においても厚生労働省を中心として令和2年2月に「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」が開催されるなど、対策に向けた取組が進められています。
(ア) ゲーム利用に関する状況
 「横浜市娯楽と生活習慣に関する調査」の結果によると、年齢が若いほど1日の平均ゲーム利用時間が長くなる傾向が見られます。
(1)総合的な依存症対策の取組
○ゲーム障害に関して、ゲームを開始する年齢に合わせた正しい理解と適切な付き合い方について、小中学校等と連携して普及啓発を実施します

「神奈川県ギャンブル等依存症対策推進計画(仮称)」素案に関する意見募集の結果について

www.pref.kanagawa.jp

さらに、オンラインゲームの課金(※1)は、ギャンブル等依存症の射幸性と似通った性質があることや、子どもは脳の発達が未成熟なため依存になりやすいことから、子どもや保護者等に対し、学校教育も含めて、依存症に対する正しい知識の普及を図っていく必要があります。
※1 オンラインゲームの「ガチャ」の危険性
スマートフォン等を使ったオンラインゲームには、ゲームを有利に進めるために1回数百円程度のくじを引いて、ゲーム内で用いるアイテムを得ることができる「ガチャ」と呼ばれるシステムがあるものがあります。 「ガチャ」は、ギャンブル等と同じように射幸性が高く、ガチャからギャンブル等へつながる危険性もあるため、子どもがゲームからギャンブル等に誘導されないように、注意する必要があります。(「「ギャンブル等依存症」などを予防するために」文部科学省から引用)

<ネット依存等に関する正しい知識の普及> 青少年や保護者に対して、インターネットの長時間利用やゲーム課金の危険性について、普及啓発に取り組みます。 <出前講座の実施> 県内小学校、中学校及び青少年関係団体等の要請に基づき、ゲーム及びSNSの長時間利用やゲーム課金の危険性を啓発する出前講座を実施します。

北海道ギャンブル等依存症対策推進計画

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近年は、インターネットを介して、公営競馬等にアクセスできるようになり、未成年者の年齢制限等が課題となっているほか、ゲームやインターネットといった特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめり込んでしまう「プロセスへの依存」が認識されてきているとともに、インターネットでのゲームに勝つために課金を繰り返す問題もでてきており、今回の国際診断基準の改訂(ICD-11)では「ゲーム障害」という新たな診断カテゴリーができています。