井出草平の研究ノート

社会調査に必要なサンプルサイズ

ベストの本を読んでいてみつけた記述。

標本は、正確な結果を担保するにはあまりにも小さく見えるかもしれない。実際、多数の人が標本調査を疑う。全国調査では、よく一〇〇〇人から一五〇〇人程度の標本が用いられる。 「この数少ない人たちが、どうやって三億人以上のアメリカ人を正確に代表できるというのだ」と、不信を抱く人たちもいる。この疑問はもっともらしく見えるが、強調点が間違っている。 比較的小さな標本、たとえば一〇〇〇人程度の人からは、それが代表標本であれば(すなわち、ある人が標本として選ばれる確率が、他の人の確率と同じであるという前提が満たされていれば) かなり正確な結果が得られるのである(統計学者の計算によると、三億人規模の母集団に対して毎回ランダムに抽出した一〇〇〇人規模の代表標本を用いた調査を繰り返し行うと、一〇〇回に九五回の割合で真の値(母集団の支持率)が、 それぞれの標本平均のプラスマイナス3%の区間の中に含まれる。さらに標本を大きくしたところで正確さはさほど変わらない。たとえば一〇倍の費用を費やして一万人規模の標本に対する調査を行うとする。その場合、誤差はプラスマイナス3%ではなくプラスマイナス1%になる [de Vaus, 1986])。 p.182

de Vausの本は下記の本のようだ。

  • de Vaus, D. A. (1986). Surveys in social research. London: Allen & Unwin.

現在は第5版。
この記述を探してみたが、見つからなかった。
1986年の本は紙でかつ古書で手に入れる必要があるので、手に入れるのに多少時間はかかる。そのためde Vausがどの研究を引用したのかは今のところ不明である。

de Vausの第5版を斜め読みした程度ではあるが、今まで見たどの本よりもずばぬけてよい出来のように感じた。社会調査士関係で社会調査をテーマにした本はでているが、de Vausの本で勉強するべきなのではないか、と思った。