ゲーム依存はギャンブル依存より強いのか

四国新聞2020年1月21日朝刊で和田秀樹氏は次のように述べている。

特にゲーム依存はギャンブルやアルコール以上に依存性が指摘されている。

香川(訂正, 2020/02/16)四国新聞:ほっとけない「ゲーム依存」=全国初の対策条例 専門医や識者ら評価 尾木氏、社会が責任持つべき 和田氏、親の責任で怖さ教育 樋口氏、身近に捉える一歩(2020年1月21日)
https://www.shikoku-np.co.jp/dg/article.aspx?id=K2020012100000015700

これは本当だろうか?

ギャンブル障害との比較

www.ncbi.nlm.nih.gov

ギャンブル障害は若年成人(18-24 years)で2.6%、すべての成人で1.0%程度と推定される。一方で、インターネットゲーム障害の有病率は若年成人(18-24 years)で1.0%、すべての成人で0.5%程度と推定される。

ギャンブルよりも、ゲームの方が手近にあるものにもかかわらず、有病率が低いことから著者のPrzybylskiらは下記のように結論付けている。

インターネットゲームはギャンブルよりもはるかに中毒性が低い

ゲーム依存者の経過研究

www.ncbi.nlm.nih.gov

以前、こちらのエントリで紹介した研究

2年間安定: 1%
ゲーム依存でなくなる: 2.8%

2年間にわたる調査だが、ゲーム依存が続くのはゲーム依存の1/4程度のようである。

ギャンブル障害の自然経過

ギャンブル障害の自然経過もあまり安定していないという報告がある。

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11年間のギャンブル障害の自然経過を観察した研究をみると、有病率を見ると1%-5%と安定していたが、構成している人は入れ替わっていたようだ。

4年間の経過を示そう。「無」はギャンブル障害ではないこと、「有」はギャンブル障害であることをいみしている。

表 4年間のギャンブル障害の自然経過

1年目 4年目 人数
427 94.3%
11 2.4%
12 2.6%
3 0.7%

4年間安定: 0.7%
ギャンブル障害でなくなる: 2.6%

ゲーム依存のデータは2年間、ギャンブル障害のデータは4年間(11年間の最初の4年を引用)であるため、期間は同じではないが、安定してはまり続ける人は少なく、自然に治る人も多いという同じような結果であった。

ギャンブル障害の方が研究期間が2年長いので、ギャンブル障害の方が離れにくいのではないかと推測できる。しかし、どちらも、固定的、つまりゲーム障害、ギャンブル障害になったら治らないというのではなく、ほとんどのケースは自然に治っているということである。

考察

ギャンブル障害よりゲーム障害の方が有病率は低くPrzybylskiらの言うように門戸は開かれているにも関わらず、依存症になる人は少ないため、依存性が少ないといえるだろう。自然経過をみると、ゲーム障害もギャンブル障害も自然寛解は多いが、ギャンブル障害の方がやや離れにくい印象がある。しかし、両者ともほとんどのケースは自然に治っていることが確認できる。

ゲーム依存はギャンブル依存より依存性が強いといった和田氏の発言の科学的根拠がないことがわかった。