香川県のネット・ゲーム条例を推し進める、大山一郎香川県議の議会での発言より。
2006年10月10日:平成18年9月定例会(第5日) http://www.db-search.com/kagawa/index.php/7090752?Template=doc-one-frame&VoiceType=OneHit&VoiceID=16189
学習障害や発達性多動障害はゲームが原因
今、学習障害と思われる子供や発達性多動障害と思われる問題行動を起こす子供たちが、我が県でも急速にふえています。私の住んでいる地域の小学校でも、既にそのような子供によって学級崩壊寸前のクラスもあります。 この異常なふえ方は、ただ単に家庭のしつけの問題だけだとは考えられません。何か共通に子供たちに起こっていることがあるはずです。それがすべてゲームやパソコンだと言うつもりはありませんが、そのような子供たちの家庭調査くらいはすべきだと考えます。原因が先天性のものではなく、ゲームなどによる前頭前野の機能低下状態だとすれば、対処を早急に行えば治る可能性は高いからであります。
「すべてではない」というエクスキューズはしているものの、「ゲームをする」→「前頭前野の機能低下」→「学習障害・ADHDになる」という主張。
大山一郎議員が『ゲーム脳の恐怖』を読んだのは2006年
大山議員は北海道新聞で「『ゲーム脳』を勉強し、問題を提起してきました」(参照)と発言しているが、大山一郎議員が『ゲーム脳の恐怖』を読んだのは2006年だそうだ。今回の条例は14年越しの悲願なのだろう。
議事録
発言が含まれる発言を全体を引用しておこう。
医学博士で脳神経科学の専門医である日本大学教授の森 昭雄氏の著書を拝見させていただきました。認知症、いわゆる痴呆症の人の神経回路の研究を長年続けた結果、認知症の場合、脳の前頭前野の著しい機能低下が起こっており、同氏が開発したアルファ波分のベータ波という数値であらわす脳波計を使って認知症の人たちの前頭前野の働きを調べてみると、脳波のベータ波が低下しているということが明らかになったそうであります。そして、たまたま大学生の脳波を同様に調べたところ、認知症と同じような前頭前野の機能低下が起こっているというタイプの学生が多数出てきたということであります。しかし、不思議なことに大学生の場合、血管が詰まっているというわけでもなく、アルツハイマー型でもない。このことに疑問を持った同氏が、それらの学生たちを調査したところ、彼らに共通するのは、小学生のころからゲーム三昧の生活だったということがわかりました。認知症では、ベータ波が低下しても、アルファ波の値よりも低くなることはないのですが、これらの大学生の場合、認知症よりさらにベータ波が低下しているという特徴があり、このように前頭前野の機能が低下している大学生が多数出てきたということであります。森教授は、このような症状のことを「ゲーム脳」と名づけております。
では、前頭前野とはどういう機能を持っているのかというと、脳内の前頭前野と呼ばれる領域は、行動や感情のコントロールに深くかかわっています。前頭前皮質はヒトでは極めてよく発達しており、ヒトの大脳皮質の約三分の一を占めております。例えばサルからヒトへの脳の進化は、脳全体が大きくなったのではなく、前頭前野が前側にせり出す形で発達したものであります。前頭前野の成熟は、他の脳の領域に比べて非常に時間を要し、大人になるまで発達を続けます。ヒトのヒトたるゆえんはまさにこの発達した前頭前野にあるし、ヒトがほかの動物よりも成熟に時間を要するのも、この前頭前野の成熟には長い時間が必要なためであります。そして、前頭前野は対象を選択し、目的を持った行動を行っていくとともに、さまざまな情報や情動を統合し、善悪を判断し、決断を下し、危険を回避し、行動をコントロールします。まさに理性の座と言うべき機能を担っているのであります。前頭前野の障害は、そうした機能を困難にするということを意味します。
最近の調査結果では、ゲーム脳は大学生だけではなく、小学生にも見られるということであります。ゲーム脳と断定された九歳の女の子の例でありますが、彼女は毎日三時間、そして三年間ゲームをやっておりました。人の話はほとんど聞かず、自分の言いたいことだけを一方的に話します。複数の子供たちで果物の名前を記憶させるゲームをさせます。リンゴ、バナナ、パイナップルと言って記憶していきます。この子は一巡すると果物の名前をすべて忘れてしまいます。三十秒から一分たてば前のことは記憶から消えてなくなります。学校の授業でも先生の話も一分後には消えてなくなりますから、先生が何を言っているのかわからなくなります。すると、教室の中をうろうろし、外に出ていきます。当然学力は低下していきます。このような子供たちが小学校で増加してきているのは、特に前頭前野の働きが低下し、脳の神経回路が正常に働いていない可能性があります。そして、ゲーム脳になると、笑わない、しゃべらない、突然キレる、わめく、壁をけるという行動があらわれてきます。では、なぜゲームを毎日続けると前頭前野の機能低下が起きるのかというと、例えばゲームをすると、指の動きが速くなります。ゲームの上手な子は速く指が動きます。考えている暇はありません。考えていたら、指の動きは遅くなります。通常人間は目から入った情報は一たん前頭前野に入り、その後、運動野に情報が入り、手や足が動きます。しかし、ゲームを毎日やっているような子供は、目から入った情報が視床を通って視野角に入り、空間位置関係が認知されると、直接と言っていいほど運動野に情報が入って、素早く脊髄を通って手が動きます。したがって、前頭前野には情報が行かなくなります。できるだけ早い経路によって運動野に出力して手が動くようにしないと、敵にやられてしまうからであります。ですから、ゲーム脳状態になると、前頭前野が働かなくなるのであります。脳内でゲームに適応した新しい神経ネットワークが形成されるためだと考えられております。ゲームに適したネットワークが脳内に形成されると、このように前頭前野が発育不全になります。そして、前頭前野の機能の一つは、古い脳に抑制をかけることです。動物的、本能的にならないように、前頭前野は常に古い脳に抑制をかけていきます。例えば、人を殴ることに抑制をかけます。善悪の判断はすべて前頭前野で行います。この前頭前野の機能がなくなると、人は動物的になっていきます。現在、これまで考えられなかったさまざまな事件が起こっておりますが、その根底に前頭前野の機能低下があると考えられております。先天的に前頭前野の神経細胞が欠落している人間は、凶悪な犯罪を起こします。これは医学的にも既に証明されております。
今、目に見えない形でゲームやIT化の弊害によって前頭前野の機能が働きにくくなってしまうという状態が考えられます。大阪府寝屋川市の小学校で起こった教職員殺傷事件では、十七歳の犯人は小学校四年生からゲームに夢中でした。犯行後、その犯人は校内の部屋でたばこを吸っていたということでありますが、常識では考えられません。達成感で満足していたかのようだったと言います。本人に道徳心や理性があれば、このような行動は起こしません。また、東大阪市で起きた事件では、十七歳の少年が子供を殺そうと思って、たまたま公園で遊んでいた四歳の子供の頭をハンマーで殴りました。「ゲームでは一発で死ぬはずなのに、死ななかった」と言って警察に自首しました。本人には悪いという意識はなく、前頭前野が働いていないので、善悪の判断もできない状態でありました。長崎で起こった事件では、中学一年生が、三歳児が騒いだからと裸にして傷つけ、さらに屋上からほうり投げて殺しました。彼の趣味はやはりゲームとパソコンでありました。犯行の翌日、学校に行って普通に勉強しています。動揺することもなく、けろっとしていたと言いますから、反省がないということは動物と同じであります。さらに、長崎で小学生の女子がカッターナイフで友達を殺しました。この子もパソコン依存症と言われる状態で、ホームページをつくっておりました。「殺すぞ」、「死ね」という汚い言葉が平気で出てきます。前頭前野は善悪を判断する理性などに関係した領域でありますから、ここの働きが極端に低下してしまった状態と考えられます。森教授は、毎日一時間以上ゲームをやっていると、だれでもゲーム脳になる可能性があると指摘しております。
私は二月議会、六月議会とゲームの有害性について質問をさせていただきました。しかし、今のところ、特に目に見えて有害性の認められるゲームの規制しか考えておられないようであります。問題は、このように一般のゲームでも、毎日一定時間以上行うと、前頭前野の機能低下が起こり得るということ、そして六月議会で申し上げましたが、ゲームにはドーパミンの多量放出により、麻薬と同様な悪害があり、依存症になるおそれがあることをどう保護者の方々に伝えるかということを考えるべきであります。
今、学習障害と思われる子供や発達性多動障害と思われる問題行動を起こす子供たちが、我が県でも急速にふえています。私の住んでいる地域の小学校でも、既にそのような子供によって学級崩壊寸前のクラスもあります。
この異常なふえ方は、ただ単に家庭のしつけの問題だけだとは考えられません。何か共通に子供たちに起こっていることがあるはずです。それがすべてゲームやパソコンだと言うつもりはありませんが、そのような子供たちの家庭調査くらいはすべきだと考えます。原因が先天性のものではなく、ゲームなどによる前頭前野の機能低下状態だとすれば、対処を早急に行えば治る可能性は高いからであります。ゲーム依存による有害性について、どのように認識し、現在、どのような研究、調査が進められ、そしてどのような対策をとられようとしているのか、教育長にお伺いをいたします。
そして、何より、何回も私は申し上げておりますが、このようなゲームや映像メディアによる悪害の科学的な根拠を担当部局の総務部と教育委員会が連携して父兄に知らせることが急務だと考えます。PTAを対象とした講演会を開くとか、教師を集めて勉強会を開くとか、やろうと思えばあすからでもできるはずであります。先日の総務委員会でも、そのことを指摘させていただきましたが、総務部長はまだ事の重大さに気づいておられないようであります。他県に先例があるとか、ないとかではなく、子供たちのために何をするかということが大切なのではないでしょうか。啓発活動に対して、知事は積極的になさるつもりがあるのか、ないのか、総務部と教育委員会との連携が必要になりますので、知事の力強いリーダーシップが求められます。最後に、知事の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手、降壇)