圧縮近代(Compressed modernity)という考え方があるらしい。ソウル大学のKyung-Sup Changの用語で、東アジアの近代化の論文などで使われているようだ。
第2の出生率低下は,いつ起こっただろうか.第2の低下はヨーロッパでは1960年代末から,日本では70年代半ばから起きている.第1の出生率低下についてはヨーロッパと日本の間には四半世紀の開きがあったが,第2の出生率低下についてはわずか数年の違いしかない.すなわち第1の低下と第2の低下との間隔はヨーロッパでは約半世紀あったが,日本では20年ほどに短縮されている. この現象を,韓国の社会学者チャン・キョンスプ(張景燮,Kyung-Sup Chang)の言葉を借りて,「圧縮近代(compressed modernity)」と呼んでおこう.後発国の近代はただ遅れて起こるのではない.「経済的,政治的,社会的,あるいは文化的な変化が,時間と空間の両方に関して極端に凝縮されたかたちで起こる」(Chang 2010=2013: 41)とチャンは言う.「そして,互いに共通点のない歴史的・社会的諸要素がダイナミックに共存することにより,きわめて複雑で流動的な社会システムが構成かつ再構成される」(Chang 2010=2013: 41)と言うのである.
- Chang, Kyung-Sup(チャン・キョンスプ), 2010, Individualization without individualism, Journal of Intimate and Public Spheres, 0(Pilot Issue): 23-39.(=2013,柴田悠訳「個人主義なき個人化」落合編『親密圏と公共圏の再編成アジア近代からの問い』京都大学学術出版会.)
こちらの本に収録されているようだ。
『親密圏と公共圏の再編成アジア近代からの問い』
日本だと、第一の近代が戦後から1970年代半ばまで、第二の近代がそれ以降ということのようだ。概念がたくさん出てくる。
日本は欧米と東アジアの他の国の間くらいの位置づけにあるため、落合恵美子は半圧縮近代という概念を提案している。
筆者は近年,日本近代を「半圧縮近代」として概念化することを提案している(Ochiai 2011; 落合2013a, 2013b).
半圧縮近代はsemi-compressed modernityと翻訳するらしい。