井出草平の研究ノート

思春期におけるスクリーンタイムと抑うつの関連性について

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- E. Boers, M. H. Afzali, N. Newton, P. Conrod, 2019, Association of Screen Time and Depression in Adolescence, JAMA pediatrics. 173(9):853-859. doi: 10.1001/jamapediatrics.2019.1759.

思春期におけるスクリーンタイムと抑うつの関連性について スクリーンタイムの増加は、抑うつ症状の増加と関連することがわかっている。しかし、縦断的な研究は不足している。 目的 スクリーンタイムとうつ病との関連を繰り返し測定し、3つの説明仮説(変位、上向きの社会的比較、強化スパイラル)を検証する。 デザイン、設定、および参加者 この二次解析では,人格を標的とした薬物・アルコール予防介入の4年間の有効性を評価した無作為化臨床試験のデータを使用した。本研究では、モントリオール地域の31校で中学1年生になった青少年を対象に、年1回の調査を行い、4年間にわたってスクリーンタイムと抑うつを評価した。データは2012年9月から2018年9月まで収集。分析は2018年12月に開始、終了した。 主なアウトカムと測定法 独立変数は、ソーシャルメディア、テレビ、ビデオゲーム、およびコンピュータの使用だった。うつ病の症状がアウトカムで、Brief Symptoms Inventoryを用いて測定した。運動量と自尊心は、変位displacement 仮説と上方社会比較social comparison仮説を検証するために評価した。 結果 3826名の青年(1798名の女子[47%]、平均[SD]年齢、12.7[0.5]歳)が対象となった。一般的に、抑うつ症状は年々増加していた(1年目の平均[SD]、4.29[5.10]ポイント、4年目の平均[SD]、5.45[5.93]ポイント)。学校レベルと個人レベルのランダムな切片を含むマルチレベルモデルにより、スクリーンタイムとうつ病の個人間および個人内の関連性を推定した。個人間の有意な関連は、ソーシャルメディアの利用時間が1時間増えるごとに、青年の抑うつ症状が0.64単位増加することを示した(95%CI、0.32-0.51)。コンピュータの利用についても同様のレベル間関連が報告された(0.69、95%CI、0.47-0.91)。個人内の有意な関連は、ある年にソーシャルメディアの利用が1時間増えると、その年の抑うつ症状がさらに0.41単位増加することを示した。テレビについても同様の個人内関連性が見られた(0.18、95%CI、0.09-0.27)。スクリーンタイム、運動、自尊心の間の個人間および個人内の有意な関連は、上向きの社会的比較仮説および非置換仮説を支持した。さらに、ソーシャルメディアと自尊心に関する個人間の関連と個人内の関連の間の有意な相互作用は、強化螺旋仮説を支持するものであった。 結論と関連性 ソーシャルメディアやテレビとうつ病との間には時間的に変化する関連性が見られ、変位仮説よりも上方社会的比較仮説や強化螺旋仮説によって説明されるように思われた。予防策の策定や親への助言の際には、両方のスクリーンタイムモードを考慮に入れるべきである。