チームリーダーと一般の看護師のストレス因子を比較した論文。結果は統計的に有意な差はなかったというもの。看護師のストレスはリーダーか否かでは変わらない、もしくはこの研究で使われているNJSSという尺度が両者の違いを測るものとしては妥当ではなかったということだろう。
大倉 和代 遠藤 智江 林 由理子 下川 光代 岩本 真理 「チームリーダーのストレス調査−メンバー看護師とのストレスを NJSS を使用し比較分析−」
NJSS(臨床看護者の仕事ストレッサー測定尺度)というものが使われている。
データの収集方法:NJSS(臨床看護者の仕事ストレッサー測定尺度 7因子 3 3 項目)を用いて質問紙を作成し,リーダーには具体的なストレス内容を記載する欄を設けた.質問紙は無記名とし,回収箱により留置き法にて回収した.
NJSS は7つの因子と 3 3 の細項目に分類されている. 【職場の人的環境に関するストレッサー(7項目) 】 【看護職者としての役割に関するストレッサー(5項目) 】 【医師との人間関係と看護職者としての自律性に関するストレッサー(5項目) 】 【死との向かい合いに関するストレッサー(4項目) 】 【仕事の質的負担に関するストレッサー(5項目) 】 【仕事の量的負担に関するストレッサー(5項目) 】 【患者との人間関係に関するストレッサー(2項目) 】で構成されている.点数尺度は状況なし:0点 ほとんど感じない:1点 少し感じる:2点 かなり感じる:3点 非常に強く感じる:4点である.
具体的なストレス内容
職場の人的環境( 1 2 )
自分より年上や勤務年数が長いスタッフに業務の依頼をする時(3)
チームメンバーから別のメンバーの事で伝えて欲しいと依頼される時
自分より経験年数の少ないスタッフばかりで働く時
チーム内での声掛けが少ない時
カンファレンスの時に否定的な発言などによりスムーズに運営できない時
スタッフから自分の考え方を率直に伝えて欲しいと思う時 (誤解が不信感につながる可能性がある)
問題が起こった時にスタッフにどのように指導したらよいか考える時
自分がスタッフに無理を言っていないか, 上司やスタッフからリーダーとしてふさわしくないと
思われているのではないか, リーダーとして的確な言葉掛けや指示ができているのか考えてしまう
自分の立場でそこまで指導して良いのか考える時(係長が直接的な指導者である時)
カンファレンスなどの決定事項を確認してくれていない時
看護職者としての役割(1)
チーム全般の業務を行っていると受け持ち患者への関わりが十分にできない時医師との人間関係(0)
死との向かい合わせ (0)仕事の質的負担(8)
リーダーとしての業務や指導範囲が病棟によって差があり曖昧
自分の動きや判断で業務の流れや仕事のしやすさが左右されるため常に神経を使い状況把握に努めなければならない
自分が働きかけなければ業務がすすまない時
「リーダー」という名前だけで負担に感じる
スタッフが忙しさのあまりすぐに患者対応できないのを発見した時(忙しい,人手不足)
自分が助言したことでスタッフ自身の考えを混乱させてしまうのではないかと感じる時
自分の器でリーダーが務まるのかという思い
病棟目標がどの程度達成できているかなど常に気にしている仕事の量的負担( 1 9 )
退院や転院が決まりサマリーなどを記入する時リーダー会の開催.日程調整(2)
カンファレンス開催
病棟目標の評価(2)
「リーダーさん」と呼ばれ業務を次々依頼される時(2)
こなさなければいけない仕事が多くある時
時間の決まっている仕事が多くある時
委員会や研修がある時(3)
受け持ち患者をみながら全体の情報収集や状態把握を行う時(3)
申し送りを行う時報告を行う時
時間配慮がないと言われた時
患者との人間関係(1) 患者の無理な要求や不穏患者に対応して本来の業務ができない時