1614人の参加者を対象としたオンライン調査。ゲームがストレスからの回復にどのように関連しているか調べた研究。
Leonard Reinecke,
Games and Recovery: The Use of Video and Computer Games to Recuperate from Stress and Strain,
Journal of Media Psychology (2009), 21, pp. 126-142.
https://www.researchgate.net/profile/Leonard_Reinecke/publication/232594932_Games_and_Recovery_The_Use_of_Video_and_Computer_Games_to_Recuperate_from_Stress_and_Strain/links/5718c3b408ae30c3f9f18c4c/Games-and-Recovery-The-Use-of-Video-and-Computer-Games-to-Recuperate-from-Stress-and-Strain.pdf(全文リンク)
分析
下記の項目について構造方程式モデルを用いて分析している。
- 仕事に関連した疲労
- 日々のストレス
- 社会的サポート(友人・家族や親戚・パートナー・集団に関して情報/支援/傾聴の3点について調べている)
- 対処スタイル(感情に関するコーピングか、問題に対するコーピングか)
- 回復経験
- 回復目的でのビデオゲームやコンピュータゲームを利用すること
結果
- ゲームをすることと回復経験を連想する人ほど、ストレスや疲労の多い状況の後にビデオゲームやコンピュータゲームを頻繁に利用する。
- 仕事上の疲労度と日常的なストレスへにさらされることは、いずれもストレスから回復するためにゲームをすることと正の相関があった。
- 感情に焦点を当てたストレスへの対処(コーピング)をする傾向にある人は、問題に焦点を当てるタイプの人よりも、ストレスからの回復のためにゲームを使用する傾向が高かった。
- 社会的なサポートが多い人は、仕事上ストレスから回復する目的でゲームを利用する傾向は少なくなる。
- ゲームのストレス緩和は、社会的なサポートが少ない場合により重要となる。
新型コロナ流行下における考察
新型コロナ流行によって私たちはストレスにさらされている。ストレス・コーピングの方法として、問題解決に乗り出すタイプの人の場合は、通常時であれば解決できる問題も多いだろう。ただ、現在の状況では解決できない問題も多く、ストレスをうまく緩和することが難しくなっている。従って、感情に焦点化したコーピングが必要かもしれない。
この研究は、ゲームは感情に焦点化したコーピングに有用である可能性も示唆している。現在の状況下で、ゲームは有効なストレス緩和策になると考えられる。
社会的距離の必要であり、外出もままならないと、社会的なサポートも乏しくなる。友達に会うことも難しいからだ。
日頃は友人などと会って話をすることでストレス対策をしている人も、この状況下では難しくなる。ゲームによるストレス緩和は選択肢の一つになるのではないだろうか。
尺度
UCLA Social Support Inventory https://cds.psych.ucla.edu/documents/UCLASocialSupportInventory.pdf この論文で使用されているのはこの尺度の短縮バージョンのようだ。 https://psycnet.apa.org/record/1995-29902-001