井出草平の研究ノート

暴力的なゲームは外向性問題の増加には関連しない。週に約8時間以上ゲームをする子どもにとっては、頻繁な対戦型ゲームは向社会的行動を減少させるリスク要因となる可能性がある。

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  • Lobel, Adam, Rutger C. M. Engels, Lisanne L. Stone, William J. Burk, and Isabela Granic. 2017. “Video Gaming and Children’s Psychosocial Wellbeing: A Longitudinal Study.” Journal of Youth and Adolescence. https://doi.org/10.1007/s10964-017-0646-z.

ビデオゲームと子どもの心理社会的ウェルビーイング。縦断的研究
ビデオゲームが子どもの心理社会的発達に及ぼす影響については、依然として議論の焦点となっている。1年後の2つの時点で、194名の子ども(7.27~11.43歳、男性=98名)が、ゲームの頻度、暴力的なビデオゲームをプレイする傾向、(a)協力的なゲームと(b)競争的なゲームを報告し、同様に、親が子どもの心理社会的健康状態を報告した。1回目のゲームは情緒的問題の増加と関連していた。暴力的なゲームは、心理社会的な変化とは関連しなかった。協力的なゲームは、向社会的行動の変化とは関連しなかった。最後に、対戦型ゲームは向社会的行動の減少と関連していたが、これはビデオゲームを高い頻度でプレイする子どもに限られていた。このように、ゲームの頻度は内向性問題の増加に関連するが、外向性問題、注意問題、仲間内の問題には関連せず、暴力的なゲームは外向性問題の増加には関連せず、週に約8時間以上ゲームをする子どもにとっては、頻繁な対戦型ゲームは向社会的行動を減少させるリスク要因となる可能性がある。今後の研究では、再現実験が必要であるとともに、より詳細で一般化可能な知見を得るためには、異なる形態のゲームをより明確に区別する必要があると考えられる。