![嘔吐 嘔吐](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51GH6A6GNRL._SL160_.jpg)
- 作者: J‐P・サルトル,白井浩司
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 1994/11/01
- メディア: 単行本
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これが自由であろうか。わたしの眼下に、庭々が無気力に街のほうにむかっておりていき、庭のひとつひとつに家がたっている。おもたく、うごかない海が見える。ブーヴィルが見える。晴天だ。
わたしは自由だ。なぜなら、わたしには生きる理由がなにひとつのこっていないからだ。わたしが得ようとした生きる理由はすべてにげさり、ほかの理由はもう想像さえできない。わたしはまだ十分わかいし、やりなおすための力をまだ十分もっている。しかし、なにをやりなおせというのか。……わたしの過去は死んだ。ド・ロルポン氏は死んだ。アニーがかえってきたのは、わたしからすべての希望をうばうためだった。庭々に沿ってつづくこの白い道で、わたしはひとりだ。ひとりで自由だ。しかし、この自由はいくらか死に似ている。
『嘔吐』のロカンタンという人物は、デュルケムのエコール・ノルマル(高等師範学校)時代の親友のヴィクトール・オンメーの自殺を考える上で重要だとの宮島喬の指摘があった*2。
ロカンタンもオンメーもそしてデュルケムも地方のリセ(高等中学校)の教師として赴任するが、そこでは単調な生活と孤独な毎日が待っていたという。この日々が死への道を用意したのではないかと考えられる。
また、デュルケムの体験したリセでの孤独と親友のオンメーの自殺が、デュルケムを「自殺」(特に自己本位自殺)の研究に向かわせたのではないかともいわれている。
『嘔吐』が手元にないので、ひとまず長谷川宏でフォロー。
![同時代人サルトル (講談社学術文庫) 同時代人サルトル (講談社学術文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/215FW3NA5QL._SL160_.jpg)
- 作者: 長谷川宏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 文庫
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読んでみて、こちらもわりと良い本だと思った。