井出草平の研究ノート

10代の若者が暴力的ゲームをプレイしても攻撃性は上がらない

ゲームが暴力性を高めるのではないかという議論がある。一昔前はDoomがやり玉にあがり、現在ではFPS全体に憂慮されていることである。

www.ncbi.nlm.nih.gov

方法

12~18歳の若者43名を対象とした調査。先行研究は大学生の研究が多い。暴力的なゲームと暴力的ではないゲームに無作為割付をされている。

ゲーム

暴力的なゲームとしてトゥームレイダー(2013)が使われている。 ja.wikipedia.org

暴力的ではないゲームとしてはFIFAが使用されている。 ja.wikipedia.org

結果

ビデオゲームのプレイ前とプレイ後のストレスと敵意を計測。ゲームプレイ敵意と暴力性が上がるという仮説を立てて、検討した結果、棄却された。つまりゲームプレイによって暴力性や敵意は上がらなかった。
男性では暴力的なゲームをプレイしてもストレスは増加しなかったが(プレイ前29.47、プレイ後29.56)、女性では増加した(プレイ前30.25、プレイ後38.63)。その原因は実験に使用されたゲームに慣れていなかったことだと推測される。

尺度

攻撃性 The Buss and Warren aggression questionnaire (AQ)
Buss AH, Warren WL. Aggression Questionnaire Manual. Los Angeles, Western Psychological Services, 2000.

敵意 The State Hostility Scale (SHS)
Anderson CA, Deuser W, DeNeve K. Hot temperatures, hostile affect, hostile cognition and arousal: Tests of a general model of affective aggression. Personality and Social Psychology Bulletin 21:434–448, 1995.

ストレス The State/Trait Anxiety Inventory(STAI) Spielberger CD, Gorsuch RL, Lushene R, Vagg PR, Jacobs GA. Manual for the State-Trait Anxiety Inventory. Palo Alto, CA, Consulting Psychologists Press, 1983.