元論文はこちら。
2019年の論文なのでこの分野に詳しい人にとっては有名な論文である。
論文の位置づけ
この種の論文はわりと書かれており、先行研究としてまとめられているとおりである。
短時間のビデオゲームの結果に焦点を当てた研究(主に大学生の集団を対象に実施)の効果は、主にプライミング効果の結果であることが示唆されている。つまり、暴力的なコンテンツに触れることで、参加者がその場にいるときに攻撃的な思考や感情への接近性が高まるということである[6]。しかし、それ以上に、一般的攻撃性モデルGeneral Aggression Model(GAM、[7])は、繰り返しプライミングされた思考や感情が進行中の出来事の知覚に影響を与え、その結果、長期的な効果として攻撃的な行動を誘発すると仮定している。私たちは、プライミング効果は興味深く、研究する価値があると考えている、GAMの概念とは対照的に、私たちが読んだ文献では、プライミング効果は短時間しか続かないとされている(5分未満しか持続しないと示唆されており、その時間が経過すると逆転する可能性がある[8])。したがって、プライミング効果は、ゲームプレイに非常に近い時間的近接性においてのみ役割を果たすはずである。さらに、大学生を対象とした多くの研究では、プライミング効果[9,10,11]や、いわゆるGAMの関連する予測(青年や大学生における暴力的コンテンツに対する脱感作[12,13,14]や、暴力的なビデオゲームをプレイした結果としての共感[15]や親社会的行動[16,17]の減少など)を再現できていない。
プライミング効果
プライミング効果とは、先行する刺激(プライマー)の処理が後の刺激(ターゲット)の処理を促進または抑制する効果のことを指す。プライミング効果は潜在的(無意識的)な処理によって行われるのが特徴であり、知覚レベル(知覚的プライミング効果)や意味レベル(意味的プライミング効果)で起こる。前者の処理は刺激の知覚様式(モダリティ)の違いによって、それぞれのモダリティに特異的な大脳皮質によって媒介される一方、後者の処理は側頭連合野などの意味処理に関連する大脳皮質によって媒介される。
一般的攻撃性モデルGeneral Aggression Model
GAMについてはこちらなど。
GAMとはこのようなモデルである。
尺度-バッテリー
今まで暴力的なゲームが人の攻撃性を上げるとしてきた論文で使われてきた尺度を用いている。
- Buss–Perry Aggression Questionnaire
- State Hostility Scale
- Updated Illinois Rape Myth Acceptance Scale
- Moral Disengagement Scale
- the Rosenzweig Picture Frustration Test
- World View Measure
論文も書かれているが、上2つがよく使われている印象がある。 SCL-90-Rも敵意Hostilityの尺度で使われていることがあるが含まれていない。ちなみに、日本語版は存在するもののライセンスが使えないに等しいものになっているのが残念なところ。
分析
GAMに則った多母集団同時分析を期待するところだが、群間差を比較しているだけである。
2変量で効果がみれなかったので、多変量にする必要もないということなのかもしれない。