井出草平の研究ノート

共同体意識測定尺度(趙・姜 2020)

寄付行動の規定要因についての論文。興味関心は寄付ではなく、使われている「共同体意識」の尺度。

ci.nii.ac.jp

  • 趙衡範・姜民護,2020,「大学生の共同体意識、寄付態度、寄付意図の関係から見た寄付行動の発生メカニズム」,『同志社政策科学研究』,21(2): 185-194.

共同体意識は、ウン(2002)が開発した測定尺度を再構成して使用した。この尺度は「共同体意識」を一因子とする8 項目一因子構造となっている。しかし、ウン(2002)の共同体意識測定尺度は、測定内容の概念的一次元性の側面からみた構成概念妥当性が検討されていないそこで、本研究のデータを用いてウン(2002)が開発した共同体意識測定尺度の構成概念妥当性を検討したところ、Root Mean Square Error ofApproximation(以下、RMSEA とする)が0.147、Comparative Fit Index(以下、CFI とする)が0.922で、尺度として成り立たなかった。このことは、ウン(2002)の測定尺度をそのまま用いることは困難であり、測定尺度に対する再検討の必要性を示唆する。そのため、共同体意識測定尺度の内容的妥当性を改めて検討し、質問項目を8項目から5 項目へと圧縮することができた。つまり、本研究では、共同体意識測定尺度を5 項目一因子構造として構築した。回答は「0 点:全くそう思わない」「1 点:そう思わない」「2 点:どちらとも言えない」「3 点:そう思う」「4 点:とてもそう思う」の5 件法で求めており、得点が高いほど、共同体意識の水準が高いことを意味するように数量化している。

  • ウン・ジヨン(2002)「青少年のボランティア活動の反省経験が市民性に及ぼす効果に関する研究」ソウル大学大学院博士学位論文.

ウン(2002)の共同体意識測定尺度のモディファイド

8項目から5項目に減らして使われている。

  1. 私は、自分が住む地域社会の構成員であるという意識をもっている
  2. 私は、自分が住んでいる地域と隣人に対して愛情を感じる
  3. 私は、自分が地域社会にとって必要な一員であると思う
  4. 私は、自分が努力すれば地域や社会がよりよくなると思う
  5. 私は、普段、地域や社会問題に関心がある

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回答の平均値に着目するなら、5 つの質問項目のうち、最も高いのは、「xa5 私は、普段、地域や社会問題に関心がある(平均値:2.36)」であった。次に、「xa4 私は、自分が努力すれば地域や社会がよりよくなると思う(平均値:1.96)」「xa2 私は、自分が住んでいる地域と隣人に対して愛情を感じる(平均値:1.86)」「xa1 私は、自分が住む地域社会の構成員であるという意識をもっている(平均値:1.67)」「xa3 私は、自分が地域社会にとって必要な一員であると思う(平均値:1.59)」という順であった。