全脳機能神経イメージング研究のメタアナリシス。参加者11,221人(患者5,493人、対照5,728人)を対象とした251件の論文から283件の試験を対象としている。
対象となった精神障害
- 精神病性障害は、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、および妄想性障害。
- 非精神病性障害は双極性障害、単極性障害(大うつ病、ディスチミア)、抑うつ性障害、不安障害(強迫性障害、心的外傷後ストレス障害を含む)、物質使用障害(混合性物質乱用および/または依存症)。
精神病性障害と非精神病性障害の違い
図4A
精神病性障害では、前中帯状皮質、前補運動野、左前頭前皮質が背外側前頭前野の中ほどから前頭前皮質に向かって後方に伸びている異常な活性化を示していた。
非精神病性障害では、右前島皮質、前頭前野、右頭頂間溝に異常な活性化を示していた。
図4B
過活動(Hypoactivation)の領域は、精神病性障害、非精神病性障害を比較しても有意な違いはなかった。精神病性障害に特異的な過活動は、再び左外側前頭前野クラスターに出現している。
図4C
右前島/前頭前野皮質(赤)に共通の機能障害がある。
精神病性障害と非精神病性障害における脳活性化のパターン。A)精神病性障害患者では、前中帯状体/前補運動野と左前頭前野に異常な活性化がみられた(青)。非精神病性障害では、右前頭前野/前頭前野と右頭頂間溝に異常な活性化(黄色)が認められた。B) 精神病性障害と非精神病性障害の別個の解析では、左中背側前頭前皮質から下前頭回/接合部、前頭前皮質における低活動(Hypoactivation)が精神病性障害を特徴づけた(青)。また、右前部島皮質/前頭前野皮質では、両障害のクラスの過活動が出現した(非精神病性障害=黄色)。過活動の対照では、有意な全脳活性化は認められなかった。C) 精神病性障害と非精神病性障害にまたがる低活性化の組み合わせにより、右前島/前頭前野皮質(赤)に共通の機能障害が認められた。
低活動の分析
統合失調症で左前頭前野left prefrontal cortexの低活動がみられるようだ。
精神障害別の低活動の確率。ボクセルワイズ解析では、精神病性障害の患者では左前頭前野で顕著な低活性化が認められた。低活動のボクセルあたりの確率を抽出すると、統合失調症は非精神病性障害(物質使用障害を除く)群よりも低活動であつたが、有意差はなかった。