井出草平の研究ノート

ギャンブル依存症の人は1カ月あたり約13米ドルをより多くルートボックスに費やしていた

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    1. Drummond, J. Sauer, C. Ferguson, Lauren C. Hall, 2020, The relationship between problem gambling, excessive gaming, psychological distress and spending on loot boxes in Aotearoa New Zealand, Australia, and the United States—A cross-national survey, PLoS ONE. 15(3):e0230378. doi: 10.1371/journal.pone.0230378

ニュージーランド、オーストラリア、米国における問題ギャンブル、過度のゲーム、心理的苦痛、ルートボックスへの支出の関係-クロスナショナル調査
ルートボックスは、多くのビデオゲームで利用されている、ランダムな報酬が入ったデジタル容器である。ルートボックスの中には、従来のギャンブルと類似しているものがあるため、ビデオゲームのルートボックスへの支出とギャンブル依存症の症状との関係について、政策立案者や一般の人々から懸念が表明されている。本研究では,これらの懸念について,3つの国(ニュージーランドアオテアロア,オーストラリア,米国)の大規模なクロスナショナル・サンプルを用いた初めての調査を行った。本研究では,QualtricsのSurvey Targetingサービスを利用して,オーストラリア(n = 339),アオテアロアニュージーランド(n = 323),米国(n = 387)の幅広い人口層から1,049名の参加者を募集した。参加者は、ギャンブル依存症、ゲーム依存症の症状、月にどれくらいの金額を購入しているかを評価するアンケートに答えた。その結果、ギャンブル依存症の人は、そうでない人に比べて、平均して1カ月あたり約13米ドルをより多くルートボックスに費やしていた。また、効果の大きさは小さかったものの、戦利品ボックスへの支出は、ポジティブな気分、ネガティブな気分の両方と関連していた。分析の結果、ギャンブル依存症とゲーム依存症の症状の間には相互作用と相関関係が見られ、これらの診断基準案の基礎となるメカニズムには共通性があり、独立した貢献がなされていることが示された。これらの結果は、ギャンブル依存症の症状を持つ人たちがルートボックスを購入することによる影響を軽減するためにはどうすればよいかを考える上でのヒントとなる。