不登校に対する精神医学的診断

不登校の入院例に対してDSM-III-R&IVの多軸診断を行った研究。

古口高志ほか、
心療内科入院治療を施行した不登校症例の病態特徴について :
DSM(III-R&IV)多軸評定に準じた形式での評定結果より
心身医学 42(7), 467-474, 2002
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001116922


この病院では摂食障害の入院治療を行っているため、I軸では摂食障害が多いが、不安障害・気分障害が多いことは他の研究と同じである。精神病性障害がある程度含まれることには注意が必要である。もちろん入院例であるため、疾患性の高い患者が集まる施設での統計だが、精神病性障害によって起こる不登校が存在する。学校に来ないという行為だけを見て不登校だと思うのではなく、背景に統合失調症や他の精神病性障害を想定しておくべきということだ。


また、素行障害も6%、反社会性パーソナリティも3%含まれている。自身が(暴力的)問題を起こすことによって、不登校が誘発されることもあるようだ。


人間関係の問題及び失恋での不登校も13.4%ある。摂食障害が22.4%、境界性パーソナリティ傾向が9%に見られる一般人口の構成比とはかなりかけ離れた特殊な集団であるが、失恋による不登校もありうることが示唆されている。


ちなみに、V軸はこの研究では計測されていない。


表 不登校の入院例に対する多軸診断の結果
精神疾患(1軸)
摂食障害 15 22.4%
不安障害 14 20.9%
気分障害 10 14.9%
身体表現性障害 5 7.5%
統合失調症および精神病性障害 5 7.5%
素行障害(Acting out) 4 6.0%
物質関連障害 2 3.0%
同一性障害 2 3.0%
診断なし 22 32.8%
合計 67
パーソナリティ特徴・障害(2軸)
未熟さ 14 20.9%
境界性パーソナリティ 6 9.0%
統合失調質・統合失調型パーソナリティ 3 4.5%
反社会的パーソナリティ 2 3.0%
回避性パーソナリティ 1 1.5%
依存性パーソナリティ 1 1.5%
強迫性パーソナリティ 1 1.5%
診断なし 40 59.7%
合計 67
全般的医療状態(3軸)
診断あり 26 38.8%
  肥満 6 9.0%
  過換気症候群 5 7.5%
  過敏性大腸炎 3 4.5%
診断なし 41 61.2%
合計 67
心理・環境的問題(4軸)
家族関係の問題 41 61.2%
いじめ(学校での) 14 20.9%
学校生活における問題 12 17.9%
人間関係の問題及び失恋 9 13.4%
試験のストレス 6 9.0%
社会環境的な問題 2 3.0%
他の問題 4 6.0%
問題なし 5 7.5%
合計 67