治験第3相の論文
55歳以上(中央値は63歳、55~88歳)で不眠症障害を有する参加者1006 名を対象とした無作為化二重盲検臨床試験。プラセボ、マイスリー(ゾルピデム酒石酸塩徐放製剤 6.25mg)、デエビゴ(レンボレキサント5mg/10mg)を1ヵ月間、就寝時に投与。治療1ヶ月間の最後の2夜(第29夜と第30夜)にポリソムノグラフィーを比較。
持続睡眠潜時 LPS
消灯から連続した30秒の非覚醒状態が20回続く最初の分数として定義
プラセボ<マイスリー=デエビゴ
(<は統計学的に有意な差を示している)
睡眠効率
消灯から点灯までの総睡眠時間/間隔として計算した、ベッドにいる時間あたりの睡眠時間の割合(8時間で標準化した値)
プラセボ<マイスリー<デエビゴ
中途覚醒
睡眠後半の中途覚醒
雑感
不眠症の多い高齢者によく飲まれているマイスリーの置換をターゲットにした薬なのかな、という印象。ここで比較されているマイスリーは徐放剤で日本では発売されていない錠形である。マイスリーを徐放剤にするということは、中途覚醒がターゲットになっているということなので、日本でのマイスリーとは異なった考えの薬と見た方がよいだろう。日本での置換の候補はレンドルミンやエバミール、ロヒプノールといったベンゾジアゼピン系の睡眠薬なのだろう。高齢者といわず、ベンゾジアゼピンが排除できる処方が望ましいので、フィットする場合にはデエビゴに乗り換えていった方がよいのだろう。