こちらの記事などで紹介されている。
アメリカ、マサチューセッツ州マーシュフィールドは32年以上もアーケードゲームが禁止されていた町として知られている。
マーシュフィールドの人口は2万5千人程度とそれほど大きくない町である。この町の出身で有名なのはエアロスミスのスティーブン・タイラーのようだ。
1982年にコイン式ビデオゲームとアーケードゲームをマーシュフィールドの店で禁止する条例が制定された。コイン式テレビゲームが子どもたちからお金を奪い取り、若者を犯罪に駆り立てると考え、ゲームの禁止条例を可決した。
日本でいうゲームセンターの事業主はこの条例を不服として訴えたが、1983年に米国最高裁判所が棄却したことで条例は確定した。1994年と2011年にもゲーム禁止条例の不当性は争われたが、いずれも覆らず、32年経った2014年にようやくゲームができるようになった。
記事では、条例を覆す案に反対の住民スー・ウォーカー氏の言葉を伝えている。
「子供たちと夕食に出かけるのが好きなので、ゲームに気を取られることなく、子供たちと一緒に座って食事をすることができる」「ゲームはちまたにあふれているが、楽しいものだとはちっとも思わない」
マーシュフィールドについてはこちらの本にも書かれている。
ビデオゲーム、特に暴力的なゲームの影響力を堕落させると考えていた。過去40年間、米国の評論家や政治家は、学校での銃乱射事件、人種差別、肥満、ナルシズム、くる病(骨の病気)、自制心の問題、飲酒運転など、ほぼすべての社会病理の原因として暴力的ゲームを非難してきた。ビデオゲームは殺人、カージャック、レイプ、腕が千切れ落ちるのではないか(冗談ではなく) 、学習障害、さらには9月11日の同時多発テロの原因としてあげられている。このようなデジタルの脅威から社会を守るために、何十もの法律が成立し、連邦公聴会が開かれ、大統領が懸念を表明し、連邦最高裁判所に訴訟が提出された。
マーシュフィールドという町はは、アメリカの世相の典型例だといえよう。
他に下記のようなニュースがある。
ゲームは若者に中毒性があると言われており、学校をサボってゲームをするために理不尽な金額を使ってしまうと、元麻薬捜査官で禁止を提案した住民のトーマス・R・ジャクソン氏は言う。さらに、ギャンブルや薬物に関する活動は、若者への監視の届かないビデオゲームをする場所が関係しているとのこと。
雑感
アメリカと日本ではゲームをして悪化した先のビジョンが少し違う。
元麻薬捜査官の話にもあるように、アメリカではゲーム→社会不適合→麻薬→暴力・犯罪といった、子どもにゲームをさせておくと、犯罪者や反社会性のある者になってしまうかもという不安がある。
一方で、日本では、ゲーム→学力不振、ゲーム→不登校・ひきこもりといった、脱社会的な存在になるかもという危惧がある。日本とアメリカの社会からの逸脱モデルが異なる点をきれいに写し取っているようにみえる。