井出草平の研究ノート

楊永信と電気けいれん療法

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楊永信(中国語: 杨永信、Yang Yongxin)は中華人民共和国精神科医で、主に10代のインターネット依存症患者の治療に電気痙攣療法を提唱・実施した事で有名[4][5][6]。現在は山東省沂水県の沂水第四病院の副院長を務める。
インターネット依存症治療センターを経営しており、第四病院では10代のインターネット依存症患者の治療合宿を行っている。患者の家族が毎月約9万円を支払って、投薬と電気痙攣療法(楊曰く「醒脑/脳を起こす」)を受けさせている事が報道された[7]。衛生部が禁止するまでに、楊は約3000人の子供達に電気痙攣療法を行った[7][8]。
楊は96%の患者が改善したと主張したが、中国メディアからは疑問視されている。禁止後は自ら開発した「低頻度パルス療法」を実施しているが、これは電気痙攣療法よりも苦痛であると患者が報告している[9]。
2016年時点で治療センターは営業しており、治療した患者は6000人を超えたと病院側は主張している[10]。

電気けいれん療法そのものは一般的なイメージとは異なり、懲罰的な方法でもなく、比較的安全な方法でもあるが、そもそもメリットがあるのかという疑問はある。依存症・嗜癖に対しての電気けいれん療法のエビデンスは限られている。おそらくデメリットがメリットを大きく上回っているだろう。

近年では経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation)を用いた研究がされている。

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pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

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低頻度パルス療法と経頭蓋直流電気刺激が同じかはわからないが、まったく非科学的というわけでもない気がする。
ただ、エビデンスが乏しく、効果が期待できるのかわからない上、他の方法で十分対処可能なので、わざわざ使う意義は感じられない。