井出草平の研究ノート

ゲーム障害に対するマインドフルネス・セラピーは可能かもしれない

ゲーム障害に対するマインドフルネス・セラピー。SEMでゲーム関する不適応な認知が媒介していることを確認。

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  • Li, Wen, Eric L. Garland, and Matthew O. Howard. 2018. “Therapeutic Mechanisms of Mindfulness-Oriented Recovery Enhancement for Internet Gaming Disorder: Reducing Craving and Addictive Behavior by Targeting Cognitive Processes.” Journal of Addictive Diseases 37 (1-2): 5–13.

インターネットゲーム障害に対するマインド・ベースの回復強化治療メカニズム。認知的プロセスを標的とした渇望および依存性行動の低減
背景 インターネットゲーム障害(IGD)は、物質使用障害やギャンブル障害に類似した徴候や症状を特徴とし、心理社会的障害と関連している。研究によると、ゲームに関連した不適応な認知や対処がIGDに関与している可能性があるため、IGDへの介入はこれらの基本的なメカニズムを標的とする必要がある。マインドフルネスに基づく治療は、依存症患者の不適応な認知プロセスを変化させ、適応的な対処法を増やすのに有効である。目的:本研究では、IGDに対するマインドフルネス志向の回復促進(MORE)のRCTのデータを用いて、IGDの徴候・症状に対するMOREの効果の媒介因子として、不適応なゲーム関連認知の変化とポジティブな再評価をさらに検討した。方法 参加者(N = 30、年齢M = 25.0、SD = 5.4)は、週8回のMOREのセッションまたはサポートグループ(SG)の対照条件に無作為に割り付けられた。IGDの重症度、ゲームをしたいという欲求のレベル、ゲームに関連する不適応な認知、ポジティブな再評価を、治療前と治療後、そして3カ月後のフォローアップで測定した。結果 多変量パス解析の結果、IGDと渇望の軽減におけるMOREの効果は、不適応なゲーム関連認知の変化によって統計的に媒介されることが明らかになった。ポジティブな再評価の変化は、IGDや渇望に対するMOREの効果を有意に媒介しなかったが、治療後のMOREはSGよりもポジティブな再評価を有意に高めていた。考察 今回の結果は、マインドフルネス治療によるゲーム関連の不適応認知の軽減が、IGDの重症度やビデオゲームへの欲求の軽減につながる可能性を示唆している。この認知的メカニズムは、将来の本格的なRCTで評価されるべきである。