井出草平の研究ノート

不適応な人格特性とゲーム障害は回避期待によって媒介される

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  • Laier, Christian, Elisa Wegmann, and Matthias Brand. 2018. “Personality and Cognition in Gamers: Avoidance Expectancies Mediate the Relationship Between Maladaptive Personality Traits and Symptoms of Internet-Gaming Disorder.” Frontiers in Psychiatry / Frontiers Research Foundation 9 (July): 304.

ゲーマーのパーソナリティと認知。回避期待が、不適応な人格特性とインターネットゲーム障害の症状との関係を媒介する
インターネットゲーム障害(IGD)は、その発症と維持のメカニズムに関して調査する価値のある臨床的に関連した現象となっている。特定のインターネット利用障害の理論モデルを考慮して、IGDの症状を予測する上で、非特異的な素因としての不適応な性格特性と、経験に基づく、ゲームに関連したインターネット利用の期待値の相互作用を想定した。そこで、インターネットをよく利用する男女103名を対象に、DSM-5に準拠した不適応な性格特性、ゲームに関連した肯定的および回避的なインターネット利用の期待値、およびIGDの症状を評価する質問紙を用いて調査を行った。その結果、陰性感情、離人症、反抗症、抑制、精神病、およびゲームに関連した肯定的・回避的な期待感がIGDの症状と関連していることが明らかになった。さらに、陰性感情、離隔、精神病質に代表される不適応な人格特性とIGDの症状との関係は、回避期待値によって媒介されていた。ゲーム関連使用の肯定的期待値は離隔と関連しており、仮説モデルでは有意な媒介因子とはならなかった。これらの結果から、ゲームに関連した肯定的な期待感と回避的な期待感が組み合わさった不適応な人格特性は、IGD発症の重要な要因であるが、肯定的な期待感と回避的な期待感は、人格特性とIGDの症状との間の媒介役については異なる役割を果たしていると考えることができた。