井出草平の研究ノート

IGDT-10の論文。「継続」「没入」「否定的な結果」「逃避」はIGDの程度の軽いものと関連し、「耐性」「コントロールの喪失」「他の活動をあきらめる」「欺瞞」の基準はより重度のレベルと関連していた。

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  • Király, Orsolya, Pawel Sleczka, Halley M. Pontes, Róbert Urbán, Mark D. Griffiths, and Zsolt Demetrovics. 2017. “Validation of the Ten-Item Internet Gaming Disorder Test (IGDT-10) and Evaluation of the Nine DSM-5 Internet Gaming Disorder Criteria.” Addictive Behaviors 64 (January): 253–60.

10項目のインターネットゲーム障害テスト(IGDT-10)の検証と、DSM-5のインターネットゲーム障害の9項目の評価。
DSM-5(セクション3)にインターネットゲーム障害(IGD)が含まれたことにより、提案された基準とその運用について多くの学術的議論がなされている。本研究の目的は、(i)DSM-5で提案されている定義を用いてIGDを評価するための簡易な心理測定ツール(10項目のインターネットゲーム障害テスト、IGDT-10)を開発・検証すること、(ii)IGDの9つの基準のそれぞれの有用性と妥当性に関する現在の議論に貢献すること(項目反応理論[IRT]を使用)、(iii)DSM-5で提案されているカットオフ閾値を調査すること、の3点である。
方法
ハンガリーの人気ゲーム雑誌の協力を得て、Facebookおよびゲーム関連サイトを通じて、オンラインゲーマー4,887名(年齢層14~64歳、平均年齢22.2歳[SD=6.4]、男性92.5%)のサンプルを収集した。参加者の間では、参加意欲を高めるために、約300ユーロの買い物券が抽選でプレゼントされた(=くじ引きのインセンティブ)。確認的因子分析と構造回帰モデルを用いて、IGDT-10の心理測定特性を検証し、IRT分析を行ってIGDの9つの基準の測定性能を検証した。最後に、DSM-5で提案されているカットオフ閾値を調べるために、潜在クラス分析と感度・特異度分析を行った。
結果
分析の結果、IGDT-10の妥当性、信頼性、および将来の研究に使用するための適合性が支持された。IRT分析の結果から、IGDは障害の重症度に応じて異なる症状を呈することが示唆された。具体的には「継続」「没入」「否定的な結果」「逃避」はIGDの低重度と関連し、「耐性」「コントロールの喪失」「他の活動をあきらめる」「欺瞞」の基準はより重度のレベルと関連していた。また、「没入」と「逃避」 は、IGDの重症度を推定するための情報をほとんど提供していなかった。最後に、DSM-5で提案されている閾値は、我々の統計的分析によって支持されているようであった。
結論
IGDT-10は、DSM-5で提案されているIGDを評価するための有効かつ信頼性の高いツールである。9つの基準が同じようにIGDを説明しているわけではないことから、各基準の特徴や複雑さを評価し、それらがIGDをどのように説明しているのかを明らかにするには、さらなる研究が必要であると考えられる。