井出草平の研究ノート

治療を希望するゲーマーの61%がIGD(DSM-5)の診断基準を満たし、36%がGD(ICD-11)の診断基準を満たし、GDにはADHDの併存が高かった。

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  • Starcevic, Vladan, Tae Young Choi, Tae Ho Kim, Seo-Koo Yoo, Sujin Bae, Byung-Sun Choi, and Doug Hyun Han. 2020. “Internet Gaming Disorder and Gaming Disorder in the Context of Seeking and Not Seeking Treatment for Video-Gaming.” Journal of Psychiatric Research 129 (October): 31–39.

ビデオゲームの治療を求める場合と求めない場合のインターネットゲーム障害とゲーム障害について
本研究の目的は、インターネットゲーム障害(IGD)とゲーム障害(GD)の関係、およびゲームに対する治療希望とIGD/GDとの一致度を検討することである。ゲームに対して治療を求めたゲーマー100人と、治療を求めなかったゲーマー100人を比較し、IGDおよびGDの基準を満たしたゲーマーと、治療を求めたかどうかにかかわらず、これらの基準を満たさなかったゲーマーを比較した。これらの比較は、半構造化診断面接および自己申告による精神病理・症状の測定を用いて行われた。治療を希望するゲーマーの61%がIGDの診断基準を満たし、36%がGDの診断基準を満たしていたため、治療希望とIGD/GDの間には部分的な一致しか見られなかった。GDの診断基準は、より激しく病的なゲームのパターンを反映しており、ゲームをする主な理由として、高い割合で注意欠陥/多動性障害(ADHD)や対処を伴うことがわかりました。IGDの基準は、危険なゲームから病的なゲームまでの「スペクトラム」を包含する広範で異質な存在であることがわかった。これらの知見から、ゲーマーは、IGD/GD、診断上しきい値以下の危険なゲームパターン(すなわち、危険なゲーム)、または正常と思われるゲームパターンに対して治療を求める可能性があることが示唆された。IGDとGDの間に部分的な重複があることから、それぞれの基準で概念化されたこの2つの障害は、交換可能なものとして考えるべきではないことがわかる。ADHDとゲーム関連障害(特にGD)の概念的な重複の関係と程度については、さらなる研究が必要である。