井出草平の研究ノート

男性は女性よりもゲーム障害を発症しやすく、ソーシャル・メディア嗜癖を発症しにくい

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  • Su, Wenliang, Xiaoli Han, Hanlu Yu, Yiling Wu, and Marc N. Potenza. 2020. “Do Men Become Addicted to Internet Gaming and Women to Social Media? A Meta-Analysis Examining Gender-Related Differences in Specific Internet Addiction.” Computers in Human Behavior 113 (December): 106480.

男性はインターネットゲームに、女性はソーシャルメディアに依存するのか?特定のインターネット中毒における性別による違いを調べるメタアナリシス
概要 男性は女性よりもインターネット依存症(IA)に陥りやすいと言われている。しかし、男性と女性では、インターネットの使用パターンやタイプ、関連するIAが異なる可能性がある。そこで、インターネットゲーム障害(IGD)とソーシャルメディア依存症(SMA)の性差を調べるために、メタ分析を行った。今回のメタ解析では、IGDおよびSMAに関する性別に関連した効果量を定量化し、地域やその他の可能性のある交絡点の影響を緩和する可能性を検討し、国レベルでの一般的なIAと比較することを目的とした。メタ分析では、IGDについては21カ国・地域の82,440人を対象に53の効果量を、SMAについては22カ国・地域の58,336人を対象に41の効果量を算出した。ランダム効果モデルにより、男性は女性よりもIGDを発症しやすく(g = 0.479)、発症しにくい(g = -0.202)という、性別による重要な違いが確認された。さらにモデレーター分析を行ったところ、IGDとSMAの効果サイズは、アジアよりもヨーロッパとアメリカで大きいことがわかった。さらに、国レベルでのIGDとSMAのジェンダー関連の差異の効果量は、一般化されたIAの効果量よりも有意に大きいことが示された。このことは、特定のIAにおけるジェンダー関連の差異が、一般化されたIAという「傘」の中では過小評価されている可能性を示唆している。この結果は、男性と女性がなぜ異なる経路を経てインターネット利用の依存症になるのかを説明する意味を持つ。