井出草平の研究ノート

因子スコアを重回帰分析の独立変数にした論文

因子スコアを独立変数にして、重回帰分析にぶち込んだ論文がいくつか存在していることを知った。

Yakubu, Idahor and Isopa(2009)

https://www.researchgate.net/publication/50194274_Using_factor_scores_in_multiple_linear_regression_model_for_predicting_the_carcass_weight_of_broiler_chickens_using_body_measurements

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この式から分析方法が読み取れる。因子1と因子2の因子スコアを同じ重回帰にぶち込んでいるようだ。調整変数(コントロール変数)はないようだ。

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SPSSでデータ分析したらしい。

Keskin and Karaca(2011)

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09712119.2007.9706660

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こちらはMINITABで分析したらしい。 https://www.minitab.com/ja-jp/products/minitab/

疑問

この2つのやりたいことはわかるし、結果が大きく違うというわけではないのかもしれないが、方法論として間違っていると思う。これでは、主成分分析の数値を独立変数にして、回帰分析を行うのと大した違いはない。

平日のネットの使いすぎは成績にマイナスだが、週末の利用はプラスになり、平日の適度なゲーム利用は成績にプラス、週末はゲームを多少やり過ぎる方が成績にはプラスに働く

吉川徹先生経由で知った論文。
平日/週末、ネット/ゲームと分けて、成績との関連をとると、興味深い関係が見られるようだ。

www.nature.com

私たちはネットもゲームも一緒くたにし、プレイしているのが平日なのか休日なのかといったことにあまり気を配らずに、教育上よくないだとか、関係がないといった議論をしがちだが、細かくわけて考えなくてはならないらしい。

調査対象とデータ

第2回オーストラリア児童・青少年精神保健・健康調査-Young Minds Matter(YMM)の全国代表データを用いて、11歳から17歳のオーストラリアの青年を対象とした学力標準化テストNAPLAN(The National Assessment Program-The National Assessment Program-Literacy and Numeracy)におけるインターネット利用と電子ゲームの関連を調査。

結果

NAPLANテストの3つ科目である読解(reading)、作文(writing)、基礎数学(numeracy)について分析している。

  • 平日に4時間以上ネットを利用する群は、読解と基礎数学のスコアが低い(勉強ではない用途)。
  • 週末に2時間以上ネットを利用する群は、読解と作文のスコアが高い(勉強ではない用途)。
  • 平日に1~2時間ゲーム利用する群は読解のスコアが高い。
  • 週末に2時間以上ゲームをしている群は読解のスコアが高い。
  • ネット・ゲームへの依存傾向がある群はスコアは低い傾向にあったが、必ずしも統計学的に有意ではなかった。

考察

インターネット利用のタイミング(平日か週末か)は考慮すべき要素である。 特に、平日のインターネットを4時間以上すると成績が低いが、平日にゲームを1~2時間する群は成績が良いという相反する結果になった。ゲームとインターネットを同一視するべきではないようだ。

この結果は、平日はネットをどの程度に収めておくべきか、ゲームは何時間くらいするべきか、といった実際のルール作りに役立つはずである。また、ゲームよりもネットの利用の方が成績低下につながる可能性があるというのも興味深い内容だと思う。


先行研究との兼ね合い

ゲームと高校生の教育成績との間に負の相関関係があると報告されている先行研究1),13),19),27)と矛盾しているが、米国、欧州などで行われた行われた研究では正の関連があるとされており28),29)、子の研究はその結果を支持することになった。

1 Wang, C. -W., Chan, C. L., Mak, K. -K., Ho, S. -Y., Wong, P. W. & Ho, R. T. Prevalence and correlates of video and Internet gaming addiction among Hong Kong adolescents: a pilot study. Sci. World J. 2014 (2014).

13 Jackson, L. A., Von Eye, A., Witt, E. A., Zhao, Y. & Fitzgerald, H. E. A longitudinal study of the effects of Internet use and videogame playing on academic performance and the roles of gender, race and income in these relationships. Comput. Hum. Behav. 27, 228–239 (2011).

19 Wright, J. The effects of video game play on academic performance. Mod. Psychol. Stud. 17, 6 (2011).

27 Jackson, L. A., Von Eye, A., Fitzgerald, H. E., Witt, E. A. & Zhao, Y. Internet use, videogame playing and cell phone use as predictors of children’s body mass index (BMI), body weight, academic performance, and social and overall self-esteem. Comput. Hum. Behav. 27, 599–604 (2011).

28 Bowers, A. J. & Berland, M. Does recreational computer use affect high school achievement?. Educ. Technol. Res. Dev. 61, 51–69 (2013).

29 Wittwer, J. & Senkbeil, M. Is students’ computer use at home related to their mathematical performance at school?. Comput. Educ. 50, 1558–1571 (2008).

ほとんどのゲームではテキストを多用しており、謎を解く必要があるということに関連しているのではないかとこの論文は類推している9),30)。

9 Posso, A. Internet usage and educational outcomes among 15-year old Australian students. Int J Commun 10, 26 (2016).

30 Jackson, L. A. et al. Does home internet use influence the academic performance of low-income children?. Dev. Psychol. 42, 429 (2006).

平日のインターネット利用

平日に4時間以上、勉強ではない用途でインターネット利用をしていることと、学業成績と負の関連がみられるた。平日のインターネット利用については、3つのモデルすべてで、インターネット利用時間とNAPLANの読解力・数字力スコアとの間に有意な負の関連が認められた。例えば、モデル1では、平日のインターネット利用時間が4時間以上の青年は、利用時間が2時間未満の青年と比較して、それぞれ15%と17%も読解力と基礎数学のスコアが低い。インターネットへの依存傾向という変数は、NAPLANの結果と負の関連がある。インターネット依存症を持っていた青年は、一般群に比べて読解力と基礎数学のスコアがそれぞれ17%と14%低かった。

週末のインターネット利用

週末のインターネット利用は、学業成績と正の関連性を示した。週末のインターネット利用は、読解力、作文力、全国標準得点に有意な関係がある。週末にインターネットを利用する時間が2~4時間程度、4時間以上の若者は、2時間未満の若者と比較して、それぞれ21%、15%高い読解力の点数が高い。(モデル1、表4)。同様に、青年のインターネット依存を調整したモデル3では、2~4時間をインターネットに費やした青年は、国の基準以上の得点を1.59倍獲得する確率高かった。表4の3つのモデルはすべて、週末に2~4時間インターネットを利用した青年は、2時間未満のインターネット利用者と比較して、読み書きのスコアが向上し、国の基準以上のスコアを獲得する可能性が高いことを確認した。

平日のゲーム利用

平日のゲームに費やした時間は、作文と言語の学力には影響しなかったが、読解の得点は13%高くなった(全くゲームをしなかった子どもたちに比べ、平日に1~2時間ゲームをした青年)。 平日の電子ゲームは読解力にプラスの効果を示す傾向があるのに対し、平日のインターネット利用はマイナスの効果を示すという興味深い結果となった。

週末のゲーム利用

週末に2時間以上ゲームをしている群は読解力が高かった。例えば、モデル3(表6)の結果から、平日に2時間以上電子ゲームに費やした青年は、全くゲームをしなかった青年に比べて、読解力のスコアが16%高かった。筆記・基礎数学のスコアに関しては、全国標準のスコアより高かったが統計学的に有意ではなかった。

先行研究

最近の推計では、世界中の18歳未満の子供の3人に1人がインターネットを利用しており、先進国では75%の青少年が毎日電子ゲームをプレイしていることが示されている4),5),6)。米国の研究では、思春期の若者は、学校や友人と過ごす時間よりも多く、コンピュータ/インターネットや電子ゲームなどの現代的な電子メディアに1日11時間以上を費やしていることが報告されている7),8)。オーストラリアでは、15~17歳の子どもの約98%がインターネット利用者であり、思春期の子どもの98%が電子ゲームをプレイしていると報告されており、これはアメリカやヨーロッパと比較してもかなり高い9),10),11),12)

4 UNICEF. Children in a digital world. United Nations Children's Fund (UNICEF) (2017)

5 King, D. L. et al. The impact of prolonged violent video-gaming on adolescent sleep: an experimental study. J. Sleep Res. 22, 137–143 (2013).

6 Byrne, J. & Burton, P. Children as Internet users: how can evidence better inform policy debate?. J. Cyber Policy. 2, 39–52 (2017).

7 Council, O. Children, adolescents, and the media. Pediatrics 132, 958 (2013).

8 Paulus, F. W., Ohmann, S., Von Gontard, A. & Popow, C. Internet gaming disorder in children and adolescents: a systematic review. Dev. Med. Child Neurol. 60, 645–659 (2018).

9 Posso, A. Internet usage and educational outcomes among 15-year old Australian students. Int J Commun 10, 26 (2016).

10 ABS. 8146.0—Household Use of Information Technology, Australia, 2016–2017 (2018).

11 Brand, J. E. Digital Australia 2018 (Interactive Games & Entertainment Association (IGEA), Eveleigh, 2017).

12 Rikkers, W., Lawrence, D., Hafekost, J. & Zubrick, S. R. Internet use and electronic gaming by children and adolescents with emotional and behavioural problems in Australia–results from the second Child and Adolescent Survey of Mental Health and Wellbeing. BMC Public Health 16, 399 (2016).

米国の12~17歳の88%がインターネットを学校での学習を進めるための有用なメカニズムと考えている15)

15 Yu, M. & Baxter, J. Australian children’s screen time and participation in extracurricular activities. Ann. Stat. Rep. 2016, 99 (2015).

子供や青年期の電子ゲームは、意思決定、スマートシンキング、協調性などのスキルを開発するのに役立つ可能性がある3),15)。

3 Oliveira, M. P. MTd. et al. Use of internet and electronic games by adolescents at high social risk. Trends Psychol. 25, 1167–1183 (2017).

インターネットや電子ゲームの使用は、睡眠時間の短縮、行動問題(自尊心の低下、不安、抑うつなど)、注意力の問題、思春期の学業成績の低下などの有害な影響を与えることがわかっているという事実を指摘する証拠がある1),5),12),16)。

1 Wang, C. -W., Chan, C. L., Mak, K. -K., Ho, S. -Y., Wong, P. W. & Ho, R. T. Prevalence and correlates of video and Internet gaming addiction among Hong Kong adolescents: a pilot study. Sci. World J. 2014 (2014).

16 Drummond, A. & Sauer, J. D. Video-games do not negatively impact adolescent academic performance in science, mathematics or reading. PLoS ONE 9, e87943 (2014).

オーストラリアのキッズオンライン調査17)では、EUキッズオンライン調査18)で調査したヨーロッパ25カ国の子どもたち(29%)と比較して、オーストラリアの子どもたちの50%がインターネット利用に関連した行動問題を経験する可能性が高いことが報告されており、憂慮すべき結果となっている12)

17 Green, L., Olafsson, K., Brady, D. & Smahel, D. Excessive Internet use among Australian children (2012).

18 Livingstone, S. EU kids online. The international encyclopedia of media literacy. 1–17 (2019).

児童・青少年のインターネットや電子ゲームの使用と学業成績との関連性については既存の文献にはいくつかの体系的な限界が残っている13),16),19)

第一に、先行研究の大部分は、学校の成績または子どもの自己評価(評価者による生来の主観を含む)に頼っており、学力の標準化されたテストを考慮していない16),20),21),22)

20 Gentile, D. A., Lynch, P. J., Linder, J. R. & Walsh, D. A. The effects of violent video game habits on adolescent hostility, aggressive behaviors, and school performance. J. Adolesc. 27, 5–22 (2004).

21 Rosenthal, R. & Jacobson, L. Pygmalion in the classroom. Urban Rev. 3, 16–20 (1968).

22 Willoughby, T. A short-term longitudinal study of Internet and computer game use by adolescent boys and girls: prevalence, frequency of use, and psychosocial predictors. Dev. Psychol. 44, 195 (2008).

第二に、これまでのほとんどの研究では、地域社会全体を対象にした調査ではなく、学校を拠点とした調査で仮説を検証しているため、社会人口統計学的交絡因子9),16)を調整することができない。

however

こちらの本から。

howeverは副詞なので独立節をつなぐことはできない。

[1] As we have seen, this model captures most of the general features of fracture formation, however, there are certain important characteristics for which it cannot account.

文章を分ける。

As we have seen, this model captures most of the general features of fracture formation. However, there are certain important characteristics for which it cannot account.

[2] This value is larger than that predicted by the original theory, however it still does not agree with the experimental value.

butでつなぐ。

This value is larger than that predicted by the original theory, but it is still inconsistent with the experimental value.

暴力的なゲームと攻撃性を結びつける研究に不正が見つかり撤回される

山根信二さんのTwitter経由で知った情報(https://twitter.com/shinjiyamane/status/1362068833641504776)。

www.sciencemag.org

今回、問題になっているのは重慶南西大学の心理学者である张谦Qian Zhang氏。张氏は暴力的ゲームをすると暴力性が増加するといった研究や、暴力的な映画を観ると暴力性が増すといった論文を次々に発表しているが、データが捏造されたものだと指摘され、张氏の論文のうち2本は撤回されている。

どうやら、調査をせずに架空のデータで、分析も捏造し、論文を書いたようである。

ただ、撤回されたのは2本だけで、今年に入ってからも张氏は精力的に論文を発表している。

ざっくりと翻訳してみた。


张氏は不正行為を否定しているが、2つの論文は撤回された。他の論文は雑誌にはまだ残っており、そのデータはメタアナリシスに含まれた形になっていることが「大きな問題」になるとメディアと行動を研究するケンブリッジ大学認知科学者、エイミー・オーベンAmy Orben氏は述べている。この不正の影響は、学術の中に留まらないという。张氏が不正をした研究は、メディアの警告ラベルであったり、親や医療専門家がゲームをどのように子ども与えるかという根拠になってしまっているのだ。

調査のきっかけとなったのは、イリノイ州立大学の心理学者ジョー・ヒルガードJoe Hilgard氏で、先月、张氏の研究についての懸念点についてブログ記事にして公開した(http://crystalprisonzone.blogspot.com/2021/01/i-tried-to-report-scientific-misconduct.html)。ヒルガードは、彼が3000人の被験者を対象とした別の研究である"Youth & Society"の2018年の論文(https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0044118X18770309)を初めてみた時感銘を受けたという。「何てこった!」と思いましたよ、と彼は言う。この研究では、一部のティーンエイジャーが暴力的なビデオゲームをプレイした後、より攻撃的になっていると書かれていたのだ。膨大なサンプルサイズを考えると、この研究は「強力なエビデンス」になる可能性があったとヒルガード氏は言う。

しかし、ヒルガード氏はこの論文に統計的な誤り、数学的に不可能な部分があることを発見した。张氏と彼の共著者たちは、高い統計的有意差を報告しているが、実際には統計的有意差のない小さな差であった。ヒルガード氏は张氏とジャーナルに警告を発し、张氏は修正を提出し、より信憑性のある論文になったかのように見えたが、それでも数値をごまかしていた。

ヒルガード氏は、3つの異なる論文でほぼ同じ結果が報告されているなど、张氏の他の論文にも問題があることを発見した。彼は张氏に電子メールを送り、彼のデータを見るように頼んだが、Zhangは拒否したという。ヒルガード氏はその後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の心理学者であり、複数の論文で张氏との共著者であるドロシー・エスペラージュDorothy Espelage氏に連絡を取った。ドロシーも张氏にデータを送るように言ったが、拒否されたとのことだった。ヒルガード氏が重慶南西大学に調査を依頼した後に、张氏が映画の暴力に関する"Youth & Society"の論文(https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0044118X18775846)のデータをヒルガード氏に送ってきただけだった。

しかし、そのデータも奇妙なもので、その論文で行われた実験と同じような実験でみられる特徴が欠けていたとヒルガード氏は言う。ヒルガード氏は調査結果を张氏の大学に送ったが、张氏のデータには問題はあったが不正ではなかったとし、张氏には "統計的な知識と研究方法に欠陥がある "と結論付けた。この返答に不満を感じたヒルガード氏は、関係するすべての雑誌に自分の観察結果を送った。

ミシガン大学アナーバー校の心理学者であり、"Youth & Society"の編集者でもあるマーク・ジマーマンMarc Zimmerman氏によると、ヒルガード氏のメールは、別の情報源が张氏のデータに疑問を呈した1週間後に来たという。2カ月後の2019年12月、ジャーナルは张氏の2つの論文を撤回した。2つの告発がなければ、迅速で、かつ、撤回という形にならなかったかもしれないと言う。「間違ったデータを公表したいと思うジャーナル編集者おらず、深刻な告発だった」とジマーマン氏は言う。

张氏はScience誌へ宛ての電子メールで、不正行為を否定し、「データを見るための『正しい』方法は1つだけではない」と書いている。张氏は、ヒルガード氏が暴力的なゲームと攻撃性との関連性に懐疑的であり、彼が他の人の研究に難癖をつけることで、有名になろうとしていると書いている。しかし、ダートマス大学の心理学者であるジェイ・ハルJay Hull氏(暴力的なビデオゲームと攻撃性の間に関連があるという立場である)は、ヒルガード氏を支持すると述べている。ハル氏は科学は不正やいんちきに基づいてはならないと述べている。

张氏と共著者であったドロシー・エスペラージュは"Aggressive Behavior"に掲載された論文の撤回を支持しているが、"Aggressive Behavior"を含む他のジャーナルは、张氏の研究をいまだ撤回していない。アイオワ州立大学の心理学者であり、"Aggressive Behavior"の編集長であるクレイグ・アンダーソンCraig Anderson氏はコメントを辞退した。

张氏の最近の論文は、ヒルガード氏の指摘を避けて書かれているが、ヒルガード氏は満足していない。こういった論文の不正への対策が遅れると「不正が巧妙になり、発見できなくなる恐れがある」とヒルガード氏は述べている。

メンタルドクターSidowさんのツイートの問題点

中谷さんから話を振られたので、少し詳しく書いてみようと思う。

メンタルドクターSidowさんのツイート

f:id:iDES:20210218000042p:plain https://twitter.com/dr_sidow/status/1360527222423998464

彼の認識が特殊だというわけではなく、一般的な精神科医の認識もこのような感じではないかと思う。
ただ、一般的な認識が正しいとは限らないこともあり、このツイートには大きな誤りがある。

ゲーム障害=精神疾患

世界保健機関WHOのICD-11が発効するのは2022年からなので、厳密にいうと、ゲーム障害(ゲーム症)は現時点ではまだ精神疾患ではない。ただ、ほぼ間違いなく、来年からはICD-11が採択されると思われるので、現時点で精神疾患だと言っていたとしても、特に問題はないだろう。

精神疾患は病気を意味するのか

なんじょうさん(@nnanjoh)がICDの話もされているので用語回りを整理しておこう。
結論から言うと、精神疾患は病気や疾病といった意味を持っていない。

ICDを含め、公式に、英語・日本語とも述語が混乱しているので、このあたりの用語かなりわかりにくい。
専門家も混乱した述語で困っているため、WHOに直接ICD-11での述語の使い方を問いただしたが、回答は、矛盾なく統一しようと試みたがICDのカバーする範囲が広いため、断念した(大意)というものだった。
また、アメリカ精神医学会のDSMの翻訳はDSM-IIIの時から精緻だが、ICDのF項目(精神障害)の翻訳は間違いや矛盾が散見される。

このようにICD原版も混乱があり、日本語訳にも混乱があるので、二重苦なのだが、一応、下記のように捉えると、間違いはない。

  • illness: 病気
  • disease: 疾病
  • disorder: 障害

疾患は対応する英語がない。日本では疾病も含んだ精神障害なども含意する用語である。

精神医学ではMental Disorderを「精神障害」と翻訳する時もあれば「精神疾患」と翻訳する時もある。DSMの本文では精神障害されているが、タイトルでは精神疾患が使用されている。このあたりも混乱を招いている原因の一つである。DSMの翻訳者によれば、精神障害という用語が日本語としてわかりにくいため、タイトルは精神疾患という表現にしたようなのだが、余計に混乱を来した感じはある。

精神障害精神疾患=疾病・病気とは異なる概念

と捉えておけば間違いはない。

ちなみに、ICD-10では比較的登場回数の多かったillnessという用語はICD-11ではおおむね削除することに成功したようである。

過度にゲームを続けると脳や行動に悪影響が及ぶことは研究レベルで証明されています。

ここが問題の部分である。
結論から言うと証明されていない。日本語の文献や久里浜の樋口進さんの本などを読んでいると、そう誤解しても仕方ないが、脳画像研究の論文を読んでいると、この認識が誤りであることがわかるはずである。
現在の脳画像研究の考え方と、その研究がどういう経緯をたどってきたかを簡単ではあるが、紹介しておこう。

脳の仕組み

脳の神経組織では白質と灰白質という用語が使われる。
神経細胞そのものは灰白質、その伝達になっているのが白質だと理解すると早い。
白質の画像研究では拡散テンソルイメージング(DTI)法を用いる。
灰白質の画像研究ではfMRIを用い、特にボクセルベースの形態計測法(VBM)が用いられている。

黎明期

白質の研究は1990年代末に始まり、本格的に論文が出るのでは2000年代に入ってからである。灰白質の研究は少し遅れ2000年半ばから後半くらいから始まる。白質の研究の方が少し研究され、それを追う形で灰白質の研究は進んでいったというのがざっくりとした研究の流れである。

今回は神経細胞の話なので、灰白質の研究に限定しよう。
本格的にゲーム障害と灰白質の研究の中で最初にまとまったものが出版されたのは2011年の下記の研究Yuan et al.(2011)だと思う。

journals.plos.org

このブログでも(解説記事)をエントリした論文だ。確かに、この論文には、ゲーム障害=ゲームのやりすぎは脳にダメージ(特定の部位の脳の容積が低下する)と示唆されるいう趣旨のことが書かれている。久里浜の樋口さんなどの論調はこの2010年代前半の論文によく登場する考え方である。

研究の蓄積による論調の変化

灰白質の画像研究は新しい領域の研究であったため、2000年代、2010年代を通して、多く研究がされた。もちろん、さまざまな分野・疾患で実施された。研究が積み重なっていくうちに、次第に論調が変化してきた。

ゲーム障害はADHDとの併存(ADHDが先んじる)ことが多いが、ADHDとゲーム障害で問題となる箇所が酷似していることが判明している。(解説記事)

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

精神病性障害を除いた精神障害灰白質の減少箇所は共通していることも判明している。(解説記事)

www.ncbi.nlm.nih.gov

共通してみられるのは前帯状皮質(ACC)と背外側前頭前野(DLPFC)と島(insula)であるが、精神障害によって特定の分野の脳の容積が少ないといった対応関係が同定はされていない。

では、もともとADHDであり、その後ゲーム障害になった児童に脳画像研究をした場合、そこで写しているのは、ADHDの画像なのか、ゲーム障害の画像なのかという疑問が当然浮かぶ。
この疑問を解決するには、多変量解析が必要だが、fMRIで脳画像を撮影する値段が馬鹿高いためサンプル数が集められず、今のところ実現していない。できれば、コホートでゲーム障害が生じる前から実施すると一番理想的だが、こちらも資金面から困難である。

現在は以下の3つの可能性が示唆されている。

  1. ゲームが神経細胞を破壊した可能性
  2. 神経細胞が少ない人がゲーム障害になりやすい可能性
  3. ゲーム障害と併存するADHDうつ病によって神経細胞が破壊された可能性

現在では2を指示するエビデンスが次第に増えている。例えば、2019年のアルコール使用障害の研究では、灰白質の体積の少なさが原因かもしれないと指摘されるようになっている。(解説記事)

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

2010年代前半の研究は、精神障害が原因で特定部位の脳の容積が低下しているのではなと推論される傾向があったが、現在では逆転した理解がされるのが標準的である。
つまり、生まれつき、もしくは成長の過程で、脳の特定部位の容積が少ないことが、ゲーム障害を含め、他の精神障害のリスクになるのではないか、というものだ。

最近のゲーム障害の脳画像研究

久里浜の樋口さんもよく引用する、ゲーム障害のボクセルベースの形態計測法のレビュー、メタアナリシス論文がある(Yao et al. 2017)。執筆年は2017年である。(解説記事)

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この論文を読めばわかるが、ゲームのやりすぎによって脳の特定部位の容積低下が起こったなどとは一言も書かれていない。
この論文の結論は1)ゲーム障害では、行動面のみならず脳における神経変異があるということ、2)両側前帯状皮質がバイオマーカーになるのではないかというものだ。

ただ、この論文は日本では、久里浜・樋口式のアレンジが加わり、2010年代前半に議論されていた、ゲームのやりすぎによって脳に影響が生じると喧伝されるされているのが現状である。

時代の変化

2011年の論文(Yuan et al. 2011)と2017年の論文(Yao et al. 2017)を実際に読み比べれば、時代の流れはすぐに把握できる。Yuan et al. (2011)は久里浜の樋口さんやゲーム害悪派の主張に割と近い論調であるが、Yao et al.(2017)は全く異なっている*1

現在では、Yao et al.(2017)のゲームの論文だけではなく、他の精神障害の論文でも、精神障害が原因で脳の特定部位の容積が低下したと書く論文はない。

脳の特定部位の容積の低下は精神障害の結果であるという見解は2010年代初頭にあった考え方で、最近は、1)原因、もしくは2)精神障害を見つけるバイオマーカーという2つの論調で論文が書かれているのが普通である。

メンタルドクターSidowさんの問題

シンプルに勉強不足である。また、精神科医という肩書は専門家とみなされるので、発言をするときには、しっかりと英文で最新情報を押さえたうえで、発言するべきである、ということだろうか。

Twitterの名前には脳のアイコンもついており、脳にこだわりも持っているようなので、是非、脳画像研究の論文もしっかりと読んでいってもらいたいものである。

*1:2011年の論文(Yuan et al. 2011)でも「ゲームのやりすぎで脳に悪影響がある」と言い切っているわけではない。

鹿児島県警サイバー犯罪対策課のツイートはどこが問題か

鹿児島県警サイバー犯罪対策課がゲーム障害についてツイートして、批判が寄せられたため、取り下げるということが起こったらしい

news.livedoor.com

Twitterのみなさんのスピードには追い付かないが、僕の立場からできる指摘を行っておこう。 当のツイートは以下のようなものだった。

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スマホでゲームをする時間を自分でコントロールできますか?

おそらく、ゲームをやり始めて、ついつい当初の時間より長くやってしまった、という意味だろう。使用時間が増えることが、ゲーム障害やネット依存症の証拠だと考えている人もいるようだ。しかし、それは間違いである。

単に「ゲームをする人」にとどまらない「ゲーマー」と目され、ゲームマニアと呼ばれることもある熱狂的なプレイヤーたちの一群も存在する。これらの人々は、週に20-30時間をゲームに費やしていながら、IGD(インターネット・ゲーム障害)の基準を満たしていない。他のゲーマーとの競技に参加し、観衆を楽しませて給与を得るプロゲーマーたちのリーグもあるが、こうした人々もIGD基準に適合しないことが多い。(ダニエル・キング『ゲーム障害 ゲーム依存の理解と治療・予防』:60)

依存と使用時間には関連があるはずだ、と考える人は多いが、現実はそうではない。例えば以下のような研究がある。

ネット依存症とネット使用時間は無関連。関連があるのは不安症状。

ides.hatenablog.com

私たちは行動をコントロールできているのか?

ゲームをついついやりすぎてしまうことは異常なのことなのだろうか。おそらく「よくあること」である。ついついごはんを食べ過ぎてしまったり、ついつい観るつもりのなかったテレビ番組をみてしまったり、するものだ。

私たちは自身を完全にコントロールできているはずがない。まぁ、もちろん、中には、当初の予定時間通りに「まるで機械のように」動くことのできる人もいるだろうが、多くの人たちはそうではないはずだ。

精神医学では「過度に(excessive)」という言葉をよく使う。例えば、うつ病抑うつ気分という症状は、気分の落ち込みを意味する。誰だって気分が乗らない時や落ち込むとはあるだろう。しかし、ベッドから立てず、ごはんを食べるのもままならず、仕事にもいけず、といった状態が2週間も続けば「質的に」別の問題となる。質的に別の問題、つまり、過度な落ち込みである抑うつ状態、うつ病と呼ばれる状態だ。

ゲームをついつい長くやってしった人は、そのうちゲーム障害になるのか、というと、その可能性は低い。ショックなことで落ち込んでしまった人がかならずうつ病にならないのと同じだ。落ち込んでしまったり、ゲームをついつい長くやり過ぎることは精神疾患ではなく、人間らしい、よくあることである。

日常生活よりゲームを優先する

日常生活という意味が幅広いので、どういう意図で書かれたのかはわからないが、結論からいえば、人の趣味趣向の問題で、人の生き方である。

MMORPGなどではゲームの中でいろいろな人とコミュニケーションをとっていて、リアルな関係よりオンラインの関係の方が魅力的であることもあるだろう。

日常生活に問題が生じる

精神医学では社会的機能と呼んでいるものである。一般的に浸透していない概念だけに、好きなように使われてしまっているのが現状だ。

日常生活に支障とは、通常、GAFが50以下もしくはSOFASが50以下といったものを指す。例えば、うつ病でベットから動けず、会社に行くことができないといった状態であればGAFもSOFASも50以下となる。食物を食べない、排せつの処理が不適切(垂れ流し)などになってくると、GAF、SOFASとも20以下と評価する。

ゲーム障害で、日常生活に支障というのは、学生であれば、少なくとも不登校か、他の社会的活動ができないレベルまで社会的機能が低下しなくてはならない。社会人であれば、仕事に行けない、仕事をすることができない、他の社会的活動もないことが続くことを意味する。

鹿児島県警を含め一般的にはもっとゆるい条件のように解釈されているのではないだろうか。

ゲームに熱中していたので、宿題をするのを忘れてしまったとか、そういうレベルのことを想像しているように思えて仕方ない。

新しいテクノロジーは悪者にされる

ゲームやネットをやり過ぎると、生活に悪影響が出ると考えられがちだが、間違いといってよいだろう。
韓国で行われたインターネット利用した調査ではオンラインゲームをするネット使用時間の長いグループの方が学業成績が良いという結果が出ている。

ides.hatenablog.com

ゲームのせいで成績が落ちたと嘆く親御さんもいるかもしれないが、それはゲームのせいではないかもしれない。学術論文の指摘は、ゲームがなくとも、自分の子どもの成績は落ちていた可能性があったことを気づかせてくれるだろう。ゲームのせいにしたい気持ちはわからなくもないが。

LINEばかりしていて家族の会話が減ったと、親や保護者がボヤくこともあるが、それはLINEのせいなのだろうか。親子関係が冷えていたりするので、子どもがLINEばかりしている可能性はないだろうか。
それに、反抗期に親や保護者と会話を嫌がるのは極めて正常なことでもある。

新しいテクノロジーは悪者扱いされやすいのでテクノロジーは叩かれがちである。しかし、そうやっているうちは、真の原因はみつからず、ただ解決が先延ばしにされているだけだということを忘れない方がいい。

ゲーム障害という精神疾患

ICD-11の採択は2022年の予定なので、将来的にはゲーム障害が精神疾患になるので、間違いとも言い切れない。
今の段階でゲーム障害が精神疾患だ、というのは不正確だろう。

とはいえ、精神障害の構成要件が間違えているので、やはり不適切である。

ゲームを止めましょう

警察という立場で「ゲームを止めろ」と言えば、ゲームの売り上げが下がるなどの効果が予測できる。これは、ゲーム制作会社やゲーム関連の仕事をついている人たちへの威力業務妨害である。

精神医学の知識が足らないのも問題だが、鹿児島県警という立場で発言するべきか否かの判断がついていないことも大きな問題のように感じるのだが、いかがだろうか。

prevalenceパッケージまわりの補足[R]

こちらのエントリの補足。

ides.hatenablog.com

感度・特異度がわかっていれば、スクリーニング調査から真の有病率の推定ができる、という手法である。
もちろん、統計的推計なので、診断の有無をしっかりと調べていくようなものを再現できる訳ではなく、いろいろと欠点は存在するが、その点はまた別の機会に。

神戸の新型コロナウィルス抗体検査からの推計

検査人数(神戸): 1000
抗体陽性者数(神戸): 33
感度(クラボウ): 0.7638
特異度(クラボウ): 1

library("prevalence")
Prev <- truePrev(33, 1000, SE = 0.7638, SP = 1, nchains = 4, 
                            burnin = 10000, update = 10000, verbose = FALSE)
summary(Prev)

以前に小数点3位以下が表示できない方法しか示していなかったがsummary()を使えば、普通に使えることがわかった。

$TP
                 mean     median       mode          sd          var       2.5%      97.5% samples
chain 1    0.04433895 0.04404722 0.04423811 0.007389166 5.459978e-05 0.03095667 0.05996641   10000
chain 2    0.04433545 0.04396456 0.04359424 0.007482319 5.598510e-05 0.03073782 0.06040244   10000
chain 3    0.04469223 0.04432558 0.04262175 0.007613095 5.795921e-05 0.03085897 0.06043127   10000
chain 4    0.04431771 0.04396270 0.04456388 0.007538102 5.682298e-05 0.03075770 0.06056437   10000
all chains 0.04442108 0.04407672 0.04416214 0.007507470 5.636211e-05 0.03081621 0.06034275   40000

$SE
             mean median   mode sd var   2.5%  97.5% samples
chain 1    0.7638 0.7638 0.7638  0   0 0.7638 0.7638   10000
chain 2    0.7638 0.7638 0.7638  0   0 0.7638 0.7638   10000
chain 3    0.7638 0.7638 0.7638  0   0 0.7638 0.7638   10000
chain 4    0.7638 0.7638 0.7638  0   0 0.7638 0.7638   10000
all chains 0.7638 0.7638 0.7638  0   0 0.7638 0.7638   40000

$SP
           mean median mode sd var 2.5% 97.5% samples
chain 1       1      1    1  0   0    1     1   10000
chain 2       1      1    1  0   0    1     1   10000
chain 3       1      1    1  0   0    1     1   10000
chain 4       1      1    1  0   0    1     1   10000
all chains    1      1    1  0   0    1     1   40000

 感度・特異度の信頼区間の計算

クラボウのパンフレット(https://www.kurabo.co.jp/bio/English/support/download.php?M=PL&CID=9#catalog111)には感度・特異度が信頼区間の計算をしていないのでやってみよう。

f:id:iDES:20210212150417p:plain

まず分割表を作成する。

dat.kurabo <- as.table(matrix(c(97,0,30,394), nrow = 2, byrow = TRUE))
colnames(dat.kurabo) <- c("PCR+","PCR-")
rownames(dat.kurabo) <- c("Test+","Test-")
dat.kurabo

クラボウの抗体検査キットのテストの分割表である。

      PCR+ PCR-
Test+   97    0
Test-   30  394

感度読緯度はepiRパッケージのepi.testsを使用する。

www.rdocumentation.org

library(epiR)
dat.kurabo <- epi.tests(dat.kurabo, conf.level = 0.95)
print(dat.kurabo); summary(dat.kurabo)

結果は以下。

Point estimates and 95 % CIs:
---------------------------------------------------------
Apparent prevalence                    0.19 (0.15, 0.22)
True prevalence                        0.24 (0.21, 0.28)
Sensitivity                            0.76 (0.68, 0.83)
Specificity                            1.00 (0.99, 1.00)
Positive predictive value              1.00 (0.96, 1.00)
Negative predictive value              0.93 (0.90, 0.95)
Positive likelihood ratio              Inf (NaN, Inf)
Negative likelihood ratio              0.24 (0.17, 0.32)
---------------------------------------------------------

95%信頼区間を考慮したtruePrev()の推定

Prev2 <- truePrev(33, 1000, SE = ~dunif(0.68, 0.83), SP = ~dunif(0.99, 1.00), nchains = 4, 
                            burnin = 10000, update = 10000, verbose = FALSE)
summary(Prev2)

少しまともな推計になっている気がする。

$TP
                 mean     median       mode          sd          var       2.5%      97.5% samples
chain 1    0.03855326 0.03814766 0.03755704 0.008713162 7.591920e-05 0.02252821 0.05702676   10000
chain 2    0.03878964 0.03831414 0.03807106 0.008852792 7.837193e-05 0.02273063 0.05734680   10000
chain 3    0.03872776 0.03827282 0.03691512 0.008820912 7.780849e-05 0.02310364 0.05757549   10000
chain 4    0.03874573 0.03819929 0.03651368 0.008811758 7.764709e-05 0.02292265 0.05766032   10000
all chains 0.03870410 0.03822552 0.03722087 0.008799941 7.743896e-05 0.02279400 0.05738077   40000

$SE
                mean    median      mode         sd         var      2.5%     97.5% samples
chain 1    0.7535388 0.7531481 0.6970268 0.04316914 0.001863575 0.6839307 0.8256182   10000
chain 2    0.7526508 0.7514917 0.7112665 0.04338263 0.001882053 0.6834678 0.8259837   10000
chain 3    0.7521326 0.7505534 0.6963293 0.04311100 0.001858558 0.6833736 0.8257220   10000
chain 4    0.7529574 0.7512809 0.6955498 0.04319945 0.001866192 0.6838645 0.8262247   10000
all chains 0.7528199 0.7516303 0.6949127 0.04321705 0.001867714 0.6836405 0.8258802   40000

$SP
                mean    median      mode          sd          var      2.5%     97.5% samples
chain 1    0.9949075 0.9948642 0.9913735 0.002900040 8.410230e-06 0.9902096 0.9997145   10000
chain 2    0.9950091 0.9949967 0.9986009 0.002892036 8.363873e-06 0.9902785 0.9997547   10000
chain 3    0.9949031 0.9948460 0.9913536 0.002881859 8.305113e-06 0.9902280 0.9997297   10000
chain 4    0.9949990 0.9949875 0.9911999 0.002906795 8.449454e-06 0.9902602 0.9997894   10000
all chains 0.9949547 0.9949262 0.9914553 0.002895512 8.383993e-06 0.9902446 0.9997498   40000

別の書式で

SEとSPを別々に指定し、分布をdistで指定することもできるようだ。

SE <- list(dist = "uniform", min = 0.68, max = 0.83)
SP <- list(dist = "uniform", min = 0.99, max = 1.00)
TP <- truePrev(x = 33, n = 1000, SE = SE, SP = SP, nchains = 4, 
               burnin = 10000, update = 10000, verbose = FALSE)
summary(TP)

プロットも下記のように記述して出力できる。

par(mfrow = c(2, 2))
plot(TP)

f:id:iDES:20210212150441p:plain

密度プロットとトレースプロットだけを表示させるには以下のコードでOKである。

densplot(Prev, exclude_fixed = TRUE)
traceplot(Prev, exclude_fixed = TRUE)