井出草平の研究ノート

2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

診断名の変更

日本精神神経学会は、社会不安障害を「社交不安障害」、行為障害を「素行障害」に変えるなど、誤解や偏見を招きやすい用語の改定を決めた。 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080530-OYT1T00674.htm 社会不安障害→社交不安障害 人格障害→パーソナリ…

アスペルガー症候群の薬物療法

山田佐登留,2007, 「薬物療法 (特集 アスペルガー症候群--病因と臨床研究)----Pharmacologic treatment of Aspereer syndrome」 『日本臨床』65(3)(通号 910),522〜526 アスペルガー症候群への薬物療法についての論文。大筋では、これと言って有効な薬物は…

広汎性発達障害やアスペルガー症候群はいつから注目され始めたのか?

2000年に起こった豊川市主婦刺殺事件(17歳の犯罪。「人を殺してみたかった」と動機を述べた事件)を切っ掛けに、アスペルガー症候群という概念が広まったとされている。時期としては2000年に入ってからのことである。このことをグラフで示してみた。 …

オーストラリア版・アスペルガー症候群の診断基準

オーストラリア版・アスペルガー症候群の診断基準(『ガイドブック・アスペルガー症候群』−親と専門家のために− トニー・アトウッド著 東京書籍) DSM-IV-TRのアスペルガー障害の診断基準はこちら。オーストラリア版の方が問診に使いやすそうだ。ひきこもりと…

最近読んだ本

「若者論」を疑え! (宝島社新書 265)作者: 後藤和智出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2008/04/09メディア: 新書購入: 7人 クリック: 217回この商品を含むブログ (35件) を見る いただきもの。俗流若者論の後藤さんによる初めての単著。内容は後藤さんのホーム…

行政で「軽度」発達障害という用語が使われなくなった理由

軽度発達障害は「軽度」な訳ではない、本人の生きづらさは軽度ではない、というようなことから「軽度」発達障害という言葉は不適切であると言われることがある。行政が軽度発達障害という言葉を使わなくなった理由は、そういった批判が受け入れられたのかと…

清水翔太

少し前に友人から聞いていた情報をエントリ。アポロ・シアターに出演して話題になっている歌手。 中学時代に学校になじめず引きこもりになっていた。そんな中、2ちゃんねるのVIP板やカラオケ板において「あめじ」という名で楽曲をアップロードしたりインター…

少年は「アスペルガー症候群」 岡山駅突き落とし事件で簡易鑑定

少し前のニュース。 JR岡山駅のホームで岡山県職員、仮谷国明さん=当時(38)=が突き落とされ死亡した事件で、殺人と銃刀法違反の非行事実で家裁送致された大阪府大東市の少年(18)が、岡山地検の簡易精神鑑定で広汎性発達障害の一種「アスペルガー…

人格障害の自殺リスク

自殺者の3分の1は反社会性、境界性、自己愛性の人格障害の診断基準を満たすらしい。こちらに引用されていた文献*1。 Bronisch T., The typology of personality disorders--diagnostic problems and their relevance for suicidal behavior. Crisis. 1996;…

アスペルガー概念の余命は長くない

『発達障害という記号 (メンタルヘルス・ライブラリー)』における高岡健の発言より。 アスペルガー症候群が十分に確立された概念かどうかについては、学会の論理としては保留されています。私の予想では、この言葉は早晩、違う言葉に置きかえられるだろうと…