井出草平の研究ノート

春日武彦は腹の底で何を考えているか

「あけぼのばし自立研修センター」の件で精神科医である春日武彦氏が注目されている。
この訴訟では、成仁病院の医師が逮捕監禁罪で訴えられている。

f:id:iDES:20191202040857p:plain https://twitter.com/pentaxxx/status/1200740076600250368

「あけぼのばし自立研修センター」はひきこもりの「引き出し屋」である。
本人の許諾なく、連れ去り、施設に閉じ込めるのは、拉致と監禁であり、刑事罰の対象となる。

拉致監禁をしたのは「あけぼのばし自立研修センター」であり、「成仁病院」はセンター経由で強制入院を実施したようだ。
入院の際には、法定要件を満たしておらず、全裸にオムツをはかされて3日間身体拘束され、入院期間は50日に及んだと告訴した男性は述べている。

春日武彦の肩書

現在は「顧問」と名乗っており、制度的には「管理者」のようだ。
https://www.nisseikyo.or.jp/hospital_search/hospital_Info.php?id=1224&dt=20161209143629

ただ、今年の秋くらいまでの肩書は院長であった。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03335_03
http://rakukai.com/2019/05/29/getsurei-20190615/

春日武彦氏は院長ではないという声がある*1ようだが、問題の訴訟の時には院長だったのだと思われる。 告訴された医師が春日武彦氏なのか不明である。

春日武彦氏ではなかったとしても、病院所属の医師個人が、院長の許可なしに他の団体との提携をしていることは考えにくい。
本人の関与がなかったとしても、管理的な立場にいる者の責任は問われるべきであろう。

春日武彦精神科医は腹の底で何を考えているか』

同書206頁から「引きともりは「心の病」か」というタイトルで、ひきこもりの話が書かれている。

小手先の解決法を模索してみても効果はない。現実的な対応は、まずは家族の硬直した価値観を変えることから始まるだろう。ただしいきなり変えることは困難だし、どうしてもある程度の時間経過が必要だろう、おそらく年単位の。そしてじっくりと時聞をかけて本人と親、双方が「ああ、もっと別な考え方、別な生き方だっであるんだ」と思えるようになって互いに牽制し合うことから脱却した状態を、「和解」と称することになるだろう。

そういった意味では、引きこもりは病というよりは家族病理を和解へと至らしめるためのプロセスと見倣すべきかもしれない(98|和解という形を、ゴールインとして設定することが実際的であると考える医師)。(pp.201)

ひきこもりの支援論として、変なことを言っているようには思えないし、拉致監禁に関わっている人の感じもこの文章からは感じ取れない。

池上正樹×春日武彦 対談

news.livedoor.com

ジャーナリストの池上正樹氏との対談。
「ゴールを設定せずに子供の話を聞いてあげてほしい」と春日武彦氏は述べている。 先の本でもひきこもりは親子の和解がメインテーマであったが、この対談でも同じスタンスで語られている。
ちなみに、2019年8月27日の記事で当時の肩書は成仁病院院長である。

ひきこもりの拉致監禁に手を貸していたとなると「和解」とは程遠い臨床をしていたことになる。
親の依頼で、本人の許諾なしに、拉致監禁をした後に、親子の和解などできるものだろうか。 拉致された側は一生、親を許さないだろう。

行政主催のイベントの講師に

春日武彦氏は東京を中心に、行政主催のイベントで、ひきこもり関連の講師として頻繁に登壇しているようである。
例えば、今年は文京区や大田区で講演をしていることが確認できる。

言動と行動の不一致が明らかであると、春日武彦が「腹の底で何を考えているか」が気になるところである。
次回の講演では「春日武彦は腹の底で何を考えているか」というテーマで、是非、ひきこもり支援の本音を語っていただきたいものである。

*1:斎藤環さんのツイートのレスを参照