井出草平の研究ノート

セルフディスカバリーキャンプ(SDiC)による治療で、インターネットゲーム障害が改善する

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  • Sakuma, Hiroshi, Satoko Mihara, Hideki Nakayama, Kumiko Miura, Takashi Kitayuguchi, Masaki Maezono, Takuma Hashimoto, and Susumu Higuchi. 2017. “Treatment with the Self-Discovery Camp (SDiC) Improves Internet Gaming Disorder.” Addictive Behaviors 64 (January): 357–62.

セルフディスカバリーキャンプ(SDiC)による治療で、インターネットゲーム障害が改善する
インターネットゲーム障害(IGD)は,過度のインターネットゲームにより,身体的,精神的,社会的な健康に影響を及ぼす新しい行動依存症である。IGDの集中的な治療法の1つとして、心理療法、心理教育療法、認知行動療法など多くの種類の治療法からなるTherapeutic Residential Camp(TRC)があります。TRCは韓国で開発され、多くのIGD患者に実施されているが、海外での有効性は不明である。本研究では,日本版TRCであるSelf-Discovery Camp(SDiC)の有効性を検討し,個人の特性とアウトカム指標との相関関係を調べた。
方法
10名のIGD患者(男性、平均年齢16.2歳、DSM-5で診断)を募集し、8泊9日のSDiCでのゲーム体験を行った。ゲーム時間と自己効力感を測定した(治療意欲と問題認識の指標であるStages of Change Readiness and Treatment Eagerness Scaleを使用)。
結果
総ゲーム時間は、SDiCの3ヶ月後に有意に減少した。また、問題認識や前向きな変化に対する自己効力感も向上した。さらに、発症年齢と問題認識スコアには相関が見られた。
結論
今回の結果は、IGDに対するSDiCの有効性、特にゲーム時間と自己効力感に関する有効性を示すものであった。さらに、発症年齢はIGDの予後を予測するのに有用であると考えられる。SDiCの有効性に関する理解を深めるためには、より多くのサンプルサイズと対照群を用い、長期的なアウトカムを対象としたさらなる研究が必要である。