出身階層の資本構造と高校生の進路選択

ブルデューの理論をベースにした論文。

ci.nii.ac.jp - 古田和久,2018,「出身階層の資本構造と高校生の進路選択」『社会学評論』69(1): 21-36.

この論文のインプリケーションは以下のもの。

文化資本が優勢な層と経済資本が優勢な層を比べれば,前者の大学希望率がより高く,後者は専門学校や就職希望が多かった.加えて,文化資本が優勢な層と中間層の対比では,後者で世帯年収が高いにもかかわらず,大学希望は前者のほうが多かった.これらの観察から,大学進学希望においては文化資本保有状況が相対的に重要だと考えられる.

潜在クラス数

父母の職業,学歴,世帯年収,預貯金,文化的所有財に対し,潜在クラス分析を適用した(表1).クラス数の異なる複数のモデルについて,適合度および解釈可能性を検討し,次のように5クラスのモデルを採用した.

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適合度の推移だけをみると分析が収束していないように見える。観測変数のカテゴリがそれぞれ3~5コあって、この種のクラス分けは多難という印象がある。この種の分析は所属確率が分析に合致しているかが重要であり、表2の所属確率はうまく分かれているようで、適合度はあまり気にしなくても良いのだろう。

情報量基準は最適な1つのモデルを明瞭に示すというよりも,採用すべきモデルの選択肢を狭めるのに有効だとの指摘にしたがった(Collins and Lanza 2010: 88).

魔法の言葉葉っぽい。

潜在クラス分析の潜在変数を独立変数にした回帰分析

分析にはLatent GOLD 5.1(Vermunt and Magidson 2016)が使用されている。

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先行研究

この手法は,中間階級と労働者階級という伝統的区分に対し「新しい階級モデル」を提案したM.Savageらの研究(Savage et al.2013)でも用いられている.彼らは職業による階級分類に対し,経済・文化・社会関係資本を直接測定し,3つの資本から形成される多次元的な階級構成を帰納的に析出した.具体的には,3つの資本を最も多く所有する「エリート」から最も資本の乏しい「プレカリアート」という両極の間に,5つの階級をおく7階級のモデルである.また,N.D.Martin(2009)はアメリカの選抜度の高い私立大学の学生を対象とした調査から,親の学歴,職業的地位や収入に関する変数をもとに,出身階層を区別した.私立のエリート大学だけに有利な階層の出身者が多くを占めるが,上位層でも文化資本の多い専門職層と,経済資本が多い経営者層の内部分化が生じていることなどを示した.

  • Savage,M.,F.Devine,N.Cunningham,M.Taylor,Y.Li,J.Hjellbrekke,B.LeRoux,S.Friedmanand A.Miles, 2013, "A New Model of Social Class?Findings from the BBCʼs Great British Class Survey Experiment," Sociology, 47(2):219-50. https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0038038513481128

  • Martin,N.D.,2009,"Quantifying Social Class: A Latent Clustering Approach," K.Robson,and C. Sanders eds., Quantifying Theory: Pierre Bourdieu, Dordrecht: Springer,161-73

この論部もそうだが、階級・階層研究の分野でのアプリケーションもいくつかあるようだ。