井出草平の研究ノート

少女期の摂食障害(拒食症、過食症)を乗り越えて今、1児の母に

1986年5月、摂食障害で入院することになった。摂食障害は、思春期や青春期の女性に多い「心の病気」である。つまり、何が逆瀬川さんの心を追いこんだのか。その原因を突き止め、取り除かないかぎり、拒食と過食の連鎖をくり返す。


「母がいっしょに苦しんでくれ、祈ってくれる中で、私は、創価学会の信仰のすばらしさと、師の偉大さを知ることができた――夜空の花火に、その歓喜を実感した時、私は病魔に勝ったと確信したんです」


その後、逆瀬川さんは結婚をし、医師がむりだと言った子宝にも恵まれた。一人娘は今、元気な小学2年生だ。「摂食障害だった私が今、こうして幸せをつかむことができたのも信仰のおかげ」。これが、逆瀬川さんの確信である。


この創価学会に限らず宗教出版物では、病気の克服物語がしばしば登場する。上記引用にもあるように摂食障害は「心の病気」として捉えられることによって、克服の対象となっている。


「医師がむりだと言った」といったところが分析的には重要。近代=医術の超克として宗教が提出されている構図である。この構図は、医術が比較対象として意味があるということが前提となっている。意味があって、権威のあるものでなければ比較対象として役に立たないからだ。


ひきこもりの場合、現象の性質上、宗教はあまり有効ではないのではないかと思う。摂食障害の方が有効性がありそうだ(たぶん)。ともあれ、どういう方法であっても、幸せにれたならそれ以上のことはない。