旧版294ページから。普及版311ページから。
職業にふさわしい風貌
292-293ページの写真から。 ディスタンクシオンには写真が並ぶところがあるが、説明が基本的にはない。
肉屋
ベレー帽の起源はバスク地方にある。バスク地方の肉屋(Boucher du Pays basque)で検索すると、下記のような写真がみつかる。
必ずしも肉屋の店員すべてがベレー帽被っているわけではないが、今も似たような形で肉屋が営まれているようだ。
ただ、服装で違う点がある。現代の肉屋はだいたいの人がエプロンをつけているところが、ディスタンクシオンに掲載された男性はエプロンをつけていない。それがどのような意味を持つのかまではわからなかった。
事務の女性
データ整理をしている女性。
カードというと図書館の目録カードではないか、と思うのだか、そうでもないようだった。
アメリカ議会図書館
日本の目録カードはアメリカ議会図書館をベースに作られたとのことである。
アメリカ議会図書館について書かれた記事。
1枚目の写真は目録カードの引き出しである。日本と同じく1列1つの引き出しで構成されている。
2枚目の写真は議会図書館の業務についての説明とその風景である。
2枚目の写真が興味深い。
アメリカ議会図書館は、新しく出版された本の目録を作成すると同時に、その記述情報を他の図書館と共有していた。1901年から何十年もの間、図書館がその情報を共有するために使用していた形式は、目録カードでした。この何百万枚もの目録カードを作成し、印刷し、整理し、保管し、配布するために、米国議会図書館では何百人ものスタッフと、下の写真のような広大なスペースが必要であった。(棚やテーブルの上にある何千もの箱が見えるだろうか? 図書館で印刷された目録カードであふれている)。
議会図書館は目録カードの作成した上で、全国の図書館へ配布するという作業をしていたようだ。
フランスの図書目録カード
フランスの目録カードはWikipediaにまとめが載っていた。
日本も、アメリカも、フランスも基本的にすべて同じ形で管理しているようだった。
国際標準カードサイズがあり、縦75mm、横125mmのもののようだ。
ということで、ディスタンクシオンに掲載された女性は図書館ではなく、一般の事務作業の風景であることだろうという結論になった。
農夫
おそらくワインのぶどう集めの道具に似ているので、ぶどうかわからないが、何らかの作物を後ろに入れて作業しているだろうことがわかる。
服装で気になるのは帽子である。この帽子の正しい名称はよくわからないが、キャスケットの一種ではないか、ということだった。
階級と帽子
フランスの例ではないが19世紀のイギリスを描いたシャーロックホームズの冒険(グラナダTV版)のオープニングをみてみよう。
新聞売りはつばの短い帽子を被っている。
新聞を買いに来た人はシルクハットを被っている。ホームズの連載は『ストランド・マガジン』という雑誌であるが、当時のロウアー・ミドル・クラスに好まれたのは新聞も雑誌も同じである。当時から続く新聞としては『デイリー・メール』が有名だろう。このような出版物を買っているということは、ジェントリー階級ではなく、ロウアー・ミドル・クラスなのだろう。
あまり金を持ってなさそうな少年たちはつばの短い帽子を被り、警官は一目で警官とわかる帽子を被っている。
最後に御者の帽子である。おそらく黄色いラインが特徴であり、こちらも一目で御者であることが分かるようになっている。
日本では警察やコックさんが職業を示す帽子を被っていることは理解できるが、帽子と階級といわれてもピンと来ない。階級を表す帽子という発想がなかったので、何度も観たはずのこのオープニングで見えていなかったものが多かったことを実感した。
字と文化資本
字にも文化資本があるという話。
鄧小平のサインがキレイだという話になったので確認してみた。
毛沢東はどうかというと以下。
では、蒋介石はというと以下。
鄧小平は蒋介石的というよりも、毛沢東的な署名である。毛沢東のふるまいをその後の指導者が真似た可能性もある。
日本の政治家でひときわ目立っているのは福島瑞穂である。
これは「変体少女文字」なのでは?ということで以下の本。
これを機に『変体少女文字の研究』を読んでみた。福島さんの字は明らかに変体少女文字の特徴がみられる。この本の仮説ではシャープペンシルの普及と横書きへの対応として変体少女文字が現れたというものであった。民や党の「はね」は横書きの場合、次の文字にいち早く移れるような書き方がされているので、福島さんの字は横書きをし続けた結果なのだろう。
日本の政治家すべてが字に無頓着ということではないようだ。
志位和夫の色紙。
党首だけを調べただけなので、確かなことは言えないが、左翼政党では署名をきれいに書くことは重要視されていないようである。
次回
297ページ、普及版316ページから。