エドテックの入門書として最適な一冊だと思う。
アメリカでエドテックが始まったのは2000年代初頭と言われています。一方で、教育分野においてもっともインパクトを与えた最初の出来事は、2016年にサルマル・カーンによって設立されたオンラインの講義動画サービス「Khan Academy(カーンアカデミー)」でした。カーン氏は遠方に住む親戚の子の家庭教師をしていましたが、数学の解説動画をユーチューブにアップして教えたところ、動画で分かりやすいこと、何度も見直して自分のペースで学べることなどが評判となり、やがては本格的なオンライン学習サイトへと発展していきました。
カーンアカデミーの面白いところは、子どもたちだけではなく、教師も授業の予習動画として使い始めたことです。カーンアカデミーよりも前に、教師らは生徒たちに対して、基礎的な知識は自宅で動画を見ながら予習し、学校ではその内容をもとに話し合いや協働学習を行う「Flipped Learning(反転授業)」と呼ばれる授業スタイルを実践していました。この予習動画にカーンアカデミーを採用する教師が増えたのです。
やはりエドテックには反転授業なのかもしれない。
クローズアップ現代+でエドテックが取り上げられた時も、反転授業は投じようしていた。成績不振の児童対策としてエドテックが採用されているクリントンデール高校では、家で勉強をして、学校に来てわからないところを先生に質問をするというスタイルをとっているらしい。
「プログラミング教育」でよいのか
しかし、「高度IT人材」はプログラマーだけを指すものではありません。デザイン、映像編集、3Dの作画などさまざまな職種が含まれており、コンピューターやネットワークに精通する人材の総称であるといえます。にもかかわらず「プログラミング教育」が必修化されたため、プログラミングという言葉のみが独り歩きをしています。
他国では「プログラミング教育(Programming Education)」という名称で必修化されている国はなく、「コンピューター・サイエンス(computer science)」や「コンピューティング(computing)」というさらに上位の概念で必修化されています。プログラミングという言葉は、専用の言語である「プログラミング言語」を用いてコードを記述する「コーディング」を想起させる部分があり、教育現場での誤解を招いています。
まったくその通りだと思う。コーディングは現代文や数学といったロジックを学ぶ科目とやっていることが重なるため、あまり意味がないように思う。
コンピューターやICT技術はコーディングだけではない。インターネットの使い方というコーディングよりも教えるべきことが扱われていなかったり、勉強にICT技術を取り入れる授業なのども効果的であろう。もう少し難しいことであれば、通信の仕組みやサーバーの知識などコーディングとは別の知識を学ぶ必要もあるかもしれない。プログラミングに限定せずにをコンピュータとその周辺の知識が学べる包括的な科目にすべきであろう。