井出草平の研究ノート

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Rでステップワイズ回帰

ステップワイズ回帰とは説明する変数(独立変数)に何を入れれば、最も説明力が高いモデルが作れるかを自動的に考えてくれるという方法だ。日本語ではSASのJMPのページの解説がよさそうに思えた。 www.jmp.com PCで統計パッケージを使って行えば、自動的に最も…

調査における反応歪曲

Satisficeのことを書きながら、「ちゃんと調査を受けてくれない人がいる」というののは、MMPIでも似たような議論があったぞ、と思い出したので、メモをしておこうと思う。 心理尺度のつくり方作者: 村上宣寛出版社/メーカー: 北大路書房発売日: 2006/09/01メ…

ウェブ調査におけるSatisfice

ウェブ調査で「ちゃんと答えない人」をどのように見極めるかという問題に関しての論文。ウェブ調査に限ったことではないのだろうが、ウェブ、オンラインといった新しい方法はケチがつけられるものなので、この種の研究は重要であろう。 もちろんウェブ調査で…

パブロフの犬はベルに反応したのか

AmazonのPrime会員になっていると無料で読めるAmazon Readingを利用してみた。内海聡『大笑い!精神医学』がラインナップにありを少し読んでみた。 大笑い!精神医学作者: 内海聡,めんどぅーさ出版社/メーカー: 三五館発売日: 2015/04/17メディア: Kindle版…

単純型統合失調症のまとめと8050問題

単純型について過去にエントリを入れたが、その中で書き残している項目をまとめてこのエントリに入れておきたい。 疫学 単純型統合失調症に該当する症候を持つ者の疫学調査が存在するようだ。アイルランドの一地方で実施されたもので、DSM-IIIから基準Aを除…

統合失調症(単純型)の典型例

www.seiwa-pb.co.jp 仙波純一,神山園子,2012,「統合失調症(単純型)の典型例」『精神科治療学』27(7): 897-901. 「統合失調症(単純型)の典型例」という論文があるため、少し長くなるが症例込みで見ていきたい。 単純型とは下記のように定義されている。 …

抗コリン作用への対処法

イントロダクション 抗コリン作用は抗うつ薬の副作用として生じる。抗コリン作用によって強い副作用が出るため、服薬を続けることができないことがあり、うつ病の治療において大きな問題となっている。 短期間であれば耐えられる程度の副作用だったとしても…

中野信子『サイコパス』

サイコパス (文春新書)作者: 中野信子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/11/18メディア: 新書この商品を含むブログ (12件) を見る サイコパスについて書いた本だということで読んでみた。 日本ではサイコパス概念は広まっていないので、このような本が…

単純型・寡症状性統合失調症

単純型よりもさらにマニアックな類型になるが寡症状性統合失調症にもついて見ていきたい。 ci.nii.ac.jp 田中伸一郎,2012,「継往開来 操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ 単純型・寡症状性統合失調症」『精神医学』54(7…

ヴィネット調査とその意義

ヴィネット調査というものを知らなかったのでヴィネット調査とその意義について簡単に調べてみた。 ci.nii.ac.jp 松田茂樹,2009,「次世代育成支援策によって出産意向は高まるか--ヴィネット調査による政策効果の推計」『ライフデザインレポート』ライフデ…

コーエンのκのサンプルサイズの推定

前回は、クロンバッハのαのサンプルサイズの推定の方法について述べた。 ides.hatenablog.com 今回はコーエンのκ係数である。 以前にコーエンのκについてエントリを入れているので、知りたい方はこちらから。 ides.hatenablog.com 今回はこちらの論文を扱う…

クロンバッハのαのサンプルサイズの計算方法

新しい質問紙・尺度(主に心理系)を作る際や翻訳をする際に求められることが多い内的整合性・内的妥当性の尺度で比較的有名である。今回は、サンプルサイズの計算方法についてである。 Bonettによる計算式を紹介しよう。 Bonett DG., 2002, "Sample size requ…

大学の卒業率・中退率

公立高校の全日制の卒業率は9割程度というのは比較的有名だが、大学の卒業率はどのくらいなのだろうか。 ちなみに卒業率は9割程度ということは1割程度は高校入学をしても中退をしているということであり、高校に入ったら全員が卒業できているというわけで…

ICDとDSMにおける単純型統合失調症の扱い

ICDとDSMにおける単純型統合失調症の扱いについてメモをしておこう。 ICDでの扱い 1977年のICD-9の段階でも「可能であれば控えめに行うべき」と書かれている。1970年代の段階で国際的にこの診断基準は推奨されていなかったことがわかる。 1990年のICD-10での…

Blankenburgの『自明性の喪失』-単純型統合失調症かアスペルガー症候群か

和田信,2016,「『自明性の喪失』にみるBlankenburg, W.の姿勢 : 単純型統合失調症か,それともアスペルガー症候群か」『精神科治療学』 31(6): 755-761. ci.nii.ac.jp 「単純型統合失調症か,それともアスペルガー症候群か」という副題にあるようにBlankenb…

カテゴリカル因子分析

追記: 019/09/18 以前、psychパッケージのfa.poly functionでカテゴリカル因子分析を書いていたが、非推奨の方法だったようだ。psychパッケージの仕様書には次のように書いてある。 fa.poly Deprecated Exploratory Factor analysis functions. Please use …