井出草平の研究ノート

インターネットゲーム障害と病的賭博における神経生物学的類似性

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  • Fauth-Bühler, M., and K. Mann. 2017. “Neurobiological Correlates of Internet Gaming Disorder: Similarities to Pathological Gambling.” Addictive Behaviors 64 (January): 349–56.

インターネットゲーム障害の神経生物学的相関関係。病的賭博との類似性
多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)の数は、その魅力とともに世界的に増加していると言われています。MMOの利用が過剰になり、他の生活領域を犠牲にすることで問題が発生する。一般的な診断システムではまだ正式な障害として含まれていないが、インターネットゲーム障害(IGD)は、DSM-5のセクションIIIで「さらなる研究が必要な状態」とされている。今回のレビューでは、特に衝動性、強迫性、報酬と罰に対する感受性に焦点を当てて、IGDに関して現在得られている認知的および神経生物学的データを概観することを目的としている。さらに、IGDに関するこれらの知見を、DSM-5で行動依存症として公式に分類されている唯一の疾患である病的賭博(PG)に関する研究データと比較する。IGDとPGの神経生物学的特性には、脳機能や行動の変化から見て、複数の類似点が観察されている。IGD患者とPG患者はともに、損失感受性の低下、ゲームおよびギャンブルの手がかりに対する反応性の増大、衝動的選択行動の増大、報酬ベースの学習の異常、認知的柔軟性の変化を示した。結論として、ゲーム障害とギャンブル障害の神経生物学に関するエビデンスベースは、両者の類似性を明らかにしつつある。しかし、IGDの神経生物学的基盤を扱った研究はわずかであり、これらの研究の中には重大な制限があるものもあるため、IGDを第二の行動的依存症としてICDおよびDSMの次期バージョンに含めることを正当化するには、さらなる研究が必要である。