ゲーム障害と確率割引(probabilitydiscounting)

インターネットゲーム障害の人が長時間のゲームプレイの結果、ネガティブな結果が出ているにもかかわらず、オンラインゲームを続けている理由を脳機能異常ではないかと示唆する論文。念のため記すると、ゲームが原因か、ADHDなどの併存症/リスクが原因かは不明である。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov - Lin X et al. 2015, Impaired risk evaluation in people with Internet gaming disorder: fMRI evidence from a probability discounting task, Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry.56:142-8.

確率割引(PD: probabilitydiscounting)

確率による価値割引は,確実に受け取ることができる少額の報酬と受け取りが不確実な多額の報酬との選択から知ることができる。例えば,“確実な 7 万円”と“80%の 10 万円”のどちらかを選択する場合,多くの人は“確実な 7 万円”を選択する。これは,80%という確率が伴うことで 10 万円の価値が割り引かれたためと考えられ,これを確率価値割引という。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/79/2/79_2_172/_pdf

ゲーム障害における確率割引

過度なオンラインゲームのプレイは、高いレベルの報酬刺激を求めたいという欲求や、結果や結果を考慮せずにリスクを伴う行動を行う、リスクテイキングの特徴と関連している可能性が指摘されている(Kelley et al., 2004)。

このリスクテイク傾向は物質使用障害(Bechara et al., 2001; Lukasiewicz et al., 2008; Tomassini et al., 2012)や病的ギャンブル(Miedl eta l.,2012)と関連していることが報告されている。

  • Bechara A, Dolan S, Denburg N, Hindes A, Anderson SW, Nathan PE. Decision-making deficits, linked to a dysfunctional ventromedial prefrontal cortex, revealed in alcohol and stimulant abusers. Neuropsychologia 2001;39(4):376–89. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11164876/

  • Lukasiewicz M, Neveu X, Blecha L, Falissard B, Reynaud M, Gasquet I. Pathways to substance-related disorder: a structural model approach exploring the influence of temperament, character, and childhood adversity in a national cohort of prisoners. Alcohol Alcohol 2008;43(3):287–95. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18283097/

  • Tomassini A, Struglia F, Spaziani D, Pacifico R, Stratta P, Rossi A. Decision making, impulsivity, and personality traits in alcohol‐dependent subjects. Am J Addict 2012;21(3): 263–7. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22494229/

  • Miedl SF, Peters J, Büchel C. Altered neural reward representations in pathological gamblers revealed by delay and probability discounting. Arch Gen Psychiatry 2012;69(2):177–86. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22310505/

ゲーム障害の人は新規性を求める

IGDの被験者は健常者に比べて新規性を求める傾向が高いことが研究で明らかになっている(Ko et al., 2006)。

クロニンジャーっぽい話。

確率割引と脳機能

確率的状況下でのパフォーマンスは、いくつかの脳構造、特に前頭前野(prefrontal cortex)、島(insula,)、頭頂皮質(頭頂葉皮質 )、腹側線条体(ventral striatum)と関連している(Cardinal, 2006; Critchley et al., 2001; Huettel et al., 2005; Huettelet al., 2006; Kuhnen and Knutson, 2005; Paulus et al., 2001; Rudorfet al., 2012; Weber and Huettel, 2008)。また、後頭頂葉(posterior parietal cortex)の活性化はリスク選好によって予測される(Peters and Buchel, 2009)。さらに、後頭頂葉皮質(posterior parietal cortex)の活性化はリスク選好性によって予測される(Peters and Buchel, 2009)。

ゲーム障害と健常対照群の比較

インターネットゲーム障害群と健常対照群群の脳活動(可能性と関連する大きな報酬の選択-固定報酬の選択)を比較。インターネットゲーム障害群では、HC群に比べて左半球の前下前頭回(IFG:anterior inferior frontal gyrus)および中心前回(precentral gyrus)でのBOLD信号の活性化が少ないことが示された。

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IGD被験者と健常対照群を比較した場合の脳領域の違い(((IGD可能-IGD固定)-(HC可能-HC固定))。
(A):IGD被験者は健常対照群よりも前頭葉の活性が低下していることを示している。 (B): IF値のピークとIF値の相関。(C):IFG活性化のピークとRTの相関。

結論

インターネットゲーム障害被験者はリスク回避能力が低下し、リスクの高い選択の背後にある潜在的損失を十分に評価することができない。これらの結果は、広く知られているネガティブな結果のリスクにもかかわらず、インターネットゲーム障害の被験者がオンラインゲームを継続してプレイする理由になると考えられる。これらの結果は、私たちが最近提案したインターネットゲーム障害に関する認知モデル(Dong and Potenza, 2014)を支持するものでもある。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov - Dong G, PotenzaMN. A cognitive–behavioral model of Internet gaming disorder: theoreticalunderpinnings and clinical implications. J Psychiatr Res 2014;58(1):7–11.