デリーの都市部の学童における近視の発生率と進行因子

journals.plos.org

北インドの研究。インドでは学童の近視の有病率は13.1%と他のアジア地域よりも低い(Saxena qt al. 2015)。

方法

デリーにある20の学校に通う5歳から15歳までの児童が対象。1年間の間隔をおいてスクリーニングを行い、1回目に近視と診断された子供たちの新たな近視の進行を観察した。近視は球相当径<-0.5Dと定義されている。

結果

再検査を受けたのは97.3%の9,616人。近視の年間発生率は3.4%で、平均視度変化率は-1.09±0.55であった。近視の発生率は、年長児に比べて年少児で有意に高く(P = 0.012)、女児は男児に比べて有意に高かった(P = 0.002)。

進行した児童(n = 629)について調整オッズ比値を推定した。コントロールに使用した変数は、性別、学校の種類、社会経済的地位、遠距離眼鏡の保護者による使用、学校と家庭での読み書きの時間、テレビの視聴、コンピュータ/ゲームの使用、野外活動である。

影響があったのは、下記の項目。

  • 読書時間(週)(p<0.001)
  • コンピュータ/ゲームの使用(p<0.001)
  • テレビの視聴(p=0.048)

保護的に作用したのは下記の項目。

  • 屋外活動(週14時間以上の野外活動)(P<0.001)

雑感

知っている限り、コンピューターやゲームが近視に影響を及ぼしているという結果が明確に出ている唯一の論文。近視の原因として揺るがないレベルで確定している原因は親からの遺伝である。この論文では、コントロール変数に親がメガネをかけているという項目があり、先行研究は踏まえられているが、この変数が有意になっていない。遺伝は近視のリスクではあるが、進行には関連しないということだろうか。うまくデータの解釈ができない。

近視は都市的な生活によって生じると推測されているが、インドは先進国に比べて都市的な生活がまだ進んでいない。ほとんどの研究は近視が社会問題化されるほど広く見られるようになった社会でされている。中国や日本などは近視が一般化しすぎて、コンピュータやゲームの影響を測定できないようになっているのかもしれない。

仮説はいくつか立てられるが、他の研究との齟齬を説得的に説明することは難しそうだ。

文献

  • Saxena R, Vashist P, Tandon R, Pandey RM, Bhardawaj A, Menon V, et al. Prevalence of myopia and its risk factors in urban school children in Delhi: the North India Myopia Study (NIM study). PloSOne. 2015;10: e0117349

www.ncbi.nlm.nih.gov